バスルームの楽園
たとえば私は少し違ってしまっただけなのだと思う。好きな音楽とか、モノとか。
あの、女の子女の子してる感じとか、みんなと仲良く足並み揃えてとか、可愛いヘアピンとか、流行りのラヴソングとか、そういうのが人よりちょっと苦手なだけ。だけどジョシコーセーっていう世界は案外シビアで数ミリの違いも許されない。ハブられたり、靴隠されたりなんてことはないけど、その一方否めない違和感。いつも一人だけフライングしちゃってるみたいな、だけどそういう子は私以外にもいて、まあ必然的に私の友好関係はそういう子たちで出来てる。
「自重?なにそれ美味いんですか?」「空気はさあ、読むもんじゃなくて吸うもんだと思うんだよね」「しずちゃーん、まゆげないよー」「そうさ、わたしたちはいつでもマイニリティー!」
そんなこんなでなんとなーくジョシコーセーを生き抜いてた私の平べったい毎日に、突如落とされた声の出ない転校生、磯谷しぶきという爆弾はあまりに強烈で破壊力抜群だったんだ。