天上万華鏡 ~地獄編~
通過の部屋とは、地獄を通過する際に、その資格があるか否か最終的に天使によって判断される部屋のことである。
「君は私の人事に異を唱えるのか? それとも保護監察局では、上官の命令に従う義務が免除されているのかね?」
「……いえ、謹んでお引き受け致します」
「よし。修羅地獄において、徹底的に罪人共を痛めつけ、消滅に追い込むべし。君が守護した霊も、もしかしたら来るかもな。勿論躊躇しないだろうね?」
「……勿論です」
「その前に、潰れるだろうがね。君が心配するに及ばないが」
この仁木龍生という男。地獄に墜ちる前、ハルの運命を大きく変えた男だった。その男が、地獄においても同様にハルの運命を変えることになる。
ハル達の知らないところで、天使達がそれぞれの思いを胸に秘め、運命が動かされた。地獄だけではない。天国すらもその有り様が変革されようとしていた。これより全てを巻き込む激動の時代に突入する
作品名:天上万華鏡 ~地獄編~ 作家名:仁科 カンヂ