朧木君の非日常生活(12)
最初に行き合った女の子。
人間離れした女の子。
口を吊り上げ何かを成し遂げたかのように笑っている。
まるで久しぶりに獲物を捉えた肉食動物のように笑っている。
そんな女の子。
そういう存在。
そういう妖。
もう、女の子とは言えない。
「朧木くん! お前……妖の類いの分際で手出したな。なぁ、消えろよ。後で跡形もなく、消してやるよ!」
蜻蛉さんがこんなにも取り乱しているのを始めてみた。
というか、案外こういう時って頭が冷静なんだと思った。
そして、妖は蜻蛉さんに言われた通りに。呆気なく、あっさりと消えた。
不気味な笑みをの残して。
俺の意識と共に消えた。
作品名:朧木君の非日常生活(12) 作家名:たし