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朧木君の非日常生活(12)

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「迷っている、か。それはそれで曖昧な答えだね、とても。迷っているにも何通りかあるじゃないか」
蜻蛉さんが聞き返す。蜻蛉さんは、いったい座敷ちゃんに何を求めているのだろうか。
「分からない」
座敷ちゃんがもう一度繰り返した。
そして沈黙。
蜻蛉さんはポケットからくしゃくしゃになった煙草を取り出し、火を付けた。
一回、二回と深呼吸をするかのように煙草吸い、喋り始めた。



「君は両親に殺されたんだね?」



 ・・・・・・殺された?
何を言っているんだ、蜻蛉さん。
そんな証拠なんかないじゃないか。

しかし、その言葉を聞いた座敷ちゃんの眉がピクリと動いた。
今まで無表情を貫き通していた座敷ちゃんが、だ。
 俺でも気付くくらいだ。蜻蛉さんが見逃すわけがない。
「図星かい?」
ほらね、見逃すわけがないんだ。
「違・・・・・・う・・・・・・の」
「違う訳がない。座敷ちゃん、君の表情を見ればわかるよ」
それはもう一目瞭然だ。でも、小さい女の子をいじめている気がしてあまりいい気分ではない。
「私のことはいいから・・・・・・早く逃げて」
「逃げる? 何を言っているんだい? 逃げたいのは君の方じゃないのかい?」
蜻蛉さんが責める、否応なしに、お構い無しに。この男は自分の目的の為だったら容赦などしないのだろう。
力は駆使せず、言葉を駆使する。
そういう男なのだろう。
蜻蛉さんの今の目的は、鎌鼬村からの脱出ではなく、鎌鼬村の秘密を暴く
ことなんだから。
「私の言うことを聞いて」 
「分かった、質問を変えよう」


と、その時。