小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

朧木君の非日常生活(12)

INDEX|2ページ/18ページ|

次のページ前のページ
 

出会って間もないのにここまで他人に思わせることが、凄い。
「やぁ、久しぶり。何をしているかだって? 決まっているじゃないか『君』を探しに来たんだよ」
嘘をついた。
「この『鎌鼬村』の輪廻に囚われた君をね」
いや、本気かもしれない。だって蜻蛉さんは全て見透かしているんだから。
この座敷ちゃん(命名しました)を見て、また新たな情報を結合し、仮定を確定へと変えたのだろうか。
現に俺は、現状の把握がしっかりと出来てはない。
いきなり『座敷わらし』と言われても頭の整理が追いつかない。
整理しても整理しても未知との出会いにまた掻き回される。
まず、最初に出会った女の子。
着ている服も、髪型もさほど変わらない。
 唯一変わった点と言えば、表情だろうか。
前の女の子は明らかに人間ではなかった。
それは一目で分かった。
対して、目の前にいる座敷ちゃんは感情こそは表情に出してはいないが、人間性を帯びている。
さっきは招かざる客である俺たちを驚かそうとしたのだろう。
そして、さっきの女の子と顔の作りが似ていると言えば似ている。身長もだいたい一緒だろう。一瞬の出来事で記憶が曖昧になってはいるけど、これは間違いないだろう。
何よりも蜻蛉さんが久しぶりと言っているんだから。
「私を探しに?」
座敷ちゃんは言った。
「そうだ、君を探しにきた。いや、助けに来たと言った方がいいかな」
「ちょっと待って。この子は座敷ちゃんって命名したんだ」
「くくく、正に、だね。君では失礼だから僕も座敷ちゃんと呼ぶことにするよ」
「それで、座敷ちゃん。逆に座敷ちゃんはここで何をやっているの?」
「迷っているの」
即答。
一切の迷いも感じない断言。
しかし、答えは反対に『迷い』。
迷いもなく『迷い』と答えた。