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里海いなみ
里海いなみ
novelistID. 18142
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人形

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3.さあ、直そうではないか~奇怪な宴~



「ボンソワール」

その声と共に布が舞い上がる。
薄い布を手に、三体が動き出したからだった。
先ほどとは打って変わって軽やかな足取り、かつんかつんと硬い音をさせながら、三体は踊っていた。
ひらりと舞う布と、翻るスカートが空気を孕んで膨らむのが美しい。
しかしその目は、何処か焦点の合っていないような、不可思議なものだった。
やがて取り残されていたカンタレラが動き出す。
それに触発されたように男が動き、更にコロンビーナが次いだ。
いつの間にか、コロンビーナ達三体の手にも薄い布がありひらひらと動きに合わせて空を切っている。
コロンビーナを中心として、男とカンタレラが布をひらひらと舞わせて足を運ぶ。
何処か空虚な目をしたセフィレール達は先ほどまで自身を覆っていた布を手にくるくると踊り始めていた。ど
こか妖しく、どこか美しく、そしてどこか哀しいものだった。
ひらりと舞う布に紛れてよく見えはしないが、男を除く五体の人形達の身体には細かな罅(ひび)が入ってしまっている。
そこからぱらぱらと砂のように欠片が落ちているのだ。
ステップを踏みながらコロンビーナ達が部屋の中央へと布を靡かせてやって来る。
それに伴って、セフィレール達もどんどんと集まってきていた。
色とりどりの布が舞い視覚を犯していくような錯覚さえ覚える。
彼らの動きが止まった。


「ねぇパパ」


小さな声が、響いた…。





3:終幕
作品名:人形 作家名:里海いなみ