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僕に神様は居ない

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「おじゃましまーす…」

「いいよ。気にしないで入りなよ。どうせ誰も居ないから。」

ほんと。僕以外誰も居ないからなー。この家。

「いらっしゃ…あ…」

「…」

なんで、今出てきやがるんだろう。この馬鹿は。

「せと?のえっと…お兄さん?」

「…。おい。数馬…なんで出てきた?」

いや。ほんと。なんなんだこの馬鹿は。

「えっと…いや。だって!!瀬斗が家に誰か連れてきたから!!珍しくて!」

ほぅ…
こいつ…さばいてやりたい。

「かずまー。お前の処遇は後回しにしてやるよ。」

「…ごめんなさい!もう勝手にでてk…え?なに?瀬斗!!?変なものでも食べたの?」

こ・い・つ・は…

「せと…えっと…俺…どうしたら?」

あー…ちきしょう。夕がここに居なかったらこいつさばくのに。
仕方ない…

「数馬。今すぐ黙って僕と夕のご飯作れ。それで今回は許してやるから。」

「え?まじ?わかった!今すぐ作る!」

バタバタ足音立てんな…。夕の前だってのに…

「夕…ごめんな?かずまがうざくて。」

「せととお兄さん…似てないんだね。」

…ん?兄だと?

「あー…あれ兄じゃないわ。ただの馬鹿。」

「え?」

「まーいいから。とりあえず、僕の部屋行くよ。」

ったく。数馬…あとでシメとかなきゃ。
めんどいなー。
説明がすごおおおおく面倒だ。
もう、自分で説明させるか。
ただでさえ長ったらしい説明するの嫌いなのに。
あの馬鹿のことまで説明したくねーなぁ〜。

「ねぇ?せと?」

「あ。好きなとこ座って〜。」

ほんと。この部屋PCだけで場所とってるからなー。
狭いよなー。改築かな〜そろそろ。
でもな〜めんd(略

「あ。うん。で、話って?というか、初対面なのに呼び捨てでいいの?」

「あー。いいの。いいの。」

「違和感無いから、そのままなんだけど…。なんか、呼びなれてるようなそんな気がして。」

勘だけは鋭いのかな?
解ってるって訳ではなさそうだし。
本能で感じ取ってるのか…?
それともやっぱり…

「せと?」

「あ。ごめん。ボーっとしてた。呼び方はいいよ。呼び捨てで。僕も夕って呼んでるし。」

「あ。そっか。ならいっか!」

夕は馬鹿なのか頭がいいのか…わかんねーな。
勘がいいだけだろうな。
でも、僕のことには気づいてないのか。
人間ってよくわからん。
もちろん自分の存在も不確かな僕が言っても意味無いけど。

「…夕。夕は、神様って信じる?」

何気なく聴いてみたかったこと。
だって、全て奪われて、それでも神様を信じていたら、すごいことだと思うから。
ただの意地悪でもあるけどね。
だって、普通此処まで苦しめられたらどんなに信じていても嫌いになるだろ?
僕には神様なんていないから関係ないけど。
神様の決めたことはこの家には通じないし、
この家の主である僕には興味すらない。
だって…僕は…

「神様…?」

「だってほら、この世界のやつら皆神様にお祈りしてるだろ?」

毎日…朝と夜。必ずお祈りしなければいけない。
そういう決まり(ルール)だから。
とりあえず、あほらしいルールだと僕は思うけどね。
祈ったところで見てないし。
やらなかったところで咎められたりしない。
でも、みんな必ずやる。
この世界でこの家の中で以外は皆やってるんだろう。
僕にはそんなルール通用しないけど。

「別に誰も咎めたりしないから気にしないで、思ってること口にすればいいよ。」

そう…神様なんて居ないって言ってもいいんだ。
此処はそういう場所。
そういう家。
いや、そういう場所に僕がした。
僕には神様が居ないから。
だから、僕がルールだ。

作品名:僕に神様は居ない 作家名:緋砂