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僕に神様は居ない

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「・・・正直」

やっと口を開いたか…
まぁ、咎められないって言われても信仰とか染み付いたものは
気にするなって言っても難しいから仕方ないが…

「正直、いるとは思ってる。でも…居てほしくない…」

へぇー意外な答えだな。
でも居てほしくないか…当たり前の反応ではあるな〜。

「俺から全てを奪ったやつなんて…居てほしくない…偶然であってほしいし、
 俺は誰かを恨みながら生きたくないから…」

弱々しい声は初めて聞く。
まぁ、一応初対面だし。当たり前なんだけど。
いつも笑ってたからこんな声を出すなんて思ってもなかった。
けど、人間らしくていいじゃないか。
僕とは違って。

ちゃんと『人らしい人間だ』そう。僕とは違って…

「夕…そんな声も出すんだな。そして表情も。羨ましいよ」

「えっ?」

「いや。僕はね、夕が周りが言っている様な人間じゃないって知ってるよ。」

そう。僕だけが知ってることがある。夕の事というより、
夕の魂のこと…

僕が目覚めたときに残ってた記憶なんてちっぽけなもの。
たくさんある情報量の中で『なんで?』って思うよなものだったけど。
今は、なんでこの情報を記憶として持ってたのかわかる。

夕を一目みた瞬間に気づいた。
だから、夕に声をかけた。

夕じゃないとだめなんだ。
夕じゃないと意味が無い…

「そういえば俺のこと見てたって言ってたね。この窓?」

「そう。僕さ、あんまり外出られないんだよ。空気があわないっていうか。
 人と会話するっていうこと自体が僕はニガテなんだ。
 僕は人が嫌い。そして人も僕のことを好きにはならない。
 きっと本能で解るんだよ…この世界のルールの一つだから…」

ルールは従わなければならないもの。
だから、誰が悪いってわけじゃない。あえて言うのなら…
それをルールと決め無意識化で従わせてるやつが悪い。

別に子供のように、あいつが自分のことを嫌いだから僕も嫌いとかじゃない。
これがルール。
この世界の人は僕を好きにならない。好ましく思わない。
だから、僕はこの世界になじまないし、ルールも通用しない。
そう。好きになる必要が無い。
例え、この世界の人間が僕を好ましく思ったり好きになったとしても…。

「せと…この世界のルールって何?俺にもわかるように説明してほしいんだけど…」

あぁ。説明しないとだめだよな。
でもしたくないんだよ。

説明したら…

君が 『僕を嫌ってしまう気がして…』

「あぁ…。でもその前に飯だ。数馬そんなとこに立ち尽くしていないで入って来い。
 飯が冷める。飯は温かいほうがおいしいんだから。」

苦笑いをして部屋に入ってこないでドアの前に、
1分ほど前から立ち尽くしていただろう数馬を部屋に招きいれる。
こいつのことも説明しないとな…
ほんと、面倒だな…なんで夕には僕にあるように小さな簡単な記憶でも残しておいてくれなかったのか…

いつも説明が面倒なんだよ…
ほんと。神様が居るのならいい加減だよな。

作品名:僕に神様は居ない 作家名:緋砂