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里海いなみ
里海いなみ
novelistID. 18142
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子供は大人に恋をする

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いってらっしゃい


浅田さんは毎日お休みの日以外はお仕事に行きます。今日はお休みの日じゃないので、お仕事です。僕は浅田さんがお仕事に行っている間お留守番をします。お部屋のお掃除をしたり、テレビを見たり、お昼寝したりします。
朝ごはんを食べ終わると浅田さんはお着替えを始めます。スーツに着替えて前髪をオールバックにして眼鏡をかけた浅田さんが、僕はほんのちょっと苦手です。なんだか別の人みたいで怖くなります。でも、きゅってネクタイをつけて鏡の前で変な所がないか確認してる浅田さんはかっこいいです。だから、怖いのにちょっぴりドキドキしちゃいます。
僕はお外にお出掛けをしないので浅田さんみたいなお洋服を持っていません。お出掛けするのは皆が寝ちゃったくらい夜なのでいつもと同じような服でも問題ありません。お外は怖い人がたくさんいるそうなので、昼間にお出掛けしたら誘拐されちゃうよって教えてもらいました。お外に行かなくてもおうちの中でテレビを見ているのが楽しいから僕は満足です。最近は空を飛ぶあんぱんが好きです。

「浅田さん、今日は何時に帰ってきますか?」
「そうだね、いつもと同じくらいかな」

浅田さんのいつもはテレビの左上に出ている数字が19:00になったらです。出来るだけ早く帰ってきてもらいたいので、僕はあい、って返事をしてスーツの浅田さんにぎゅうって抱きつきました。浅田さんはちょっと笑ってから僕を抱っこしてくれました。今日はいつもより早くご飯が終わったのでいつもより長くぎゅうってできます。ちょっぴり怖い浅田さんも、ぎゅうってしてもらったらドキドキのほうが勝っちゃいました。
僕を片手で抱っこしたまま浅田さんは反対の手で鞄を取って玄関に行きます。浅田さんが歩く度に揺れてなんだか楽しいです。スーツがしわくちゃにならないように握って肩の辺りに頭を押し付けたら浅田さんが笑ったのがわかりました。
一人でのお留守番はとっても寂しいです。でも浅田さんはお留守番がちゃんとできたら誉めてくれるし、たくさんぎゅうってしてくれるから頑張ります。まだお洗濯は出来ないけどお掃除をしたらいっぱい笑ってくれるから僕も嬉しくなります。

「……それじゃ、マコ? そろそろ行ってくるよ」
「あい、……早く帰ってきて下さい」

ホントは離れたくないのですが、我が儘を言って浅田さんを困らせてはいけないので僕は床に降りました。ちょっとだけ、ちょっとだけお願いを口にしたら浅田さんは笑いながらしゃがんでくれました。そして、

「もちろんだよ」

と言って僕に行ってきますのちゅうをくれました。