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 結局、断ることもできず、リーダーとしての日々が始まった。
 高校で商業課を出ていたのを店長はちゃんとチェックしていたようで、バイト君のまとめ役というバイトリーダーの枠を飛び越えて、仕入れ管理なども任されるようになり、いつしか店長を除いて唯一、食料品の流通ルートを把握し、任される立場になってしまっていた。まさか、商業系の就職をする気もなく、言われるがまま学校で取得した簿記検定や情報処理検定による技能を、早速、ここで使う事になろうとは。
 予想していたよりも忙しい日々。目まぐるしいとはこのことだ。帳簿管理に、在庫照会、客先との連絡、受け入れ検査、そしてアルバイトの管理。
 アルバイトのシフトを決める仕事はさながらクラスの学級委員だ。自分よりも年下、年上、どちらも混在する職場で、十九やそこらの私が舵を取るということは、決して良い役回りではない。それに、流通ルートの生産管理など、アルバイトにやらせることなのだろうか?
 連日連夜、残業が続いた。給与はそれに伴ってそれなりの額になっていたのだが、使う気力も無く、土日は疲労で引き籠もることが多くなっていった。
「今日は暇、遊ぼうか?」
 友人の問いかけに対しての、最近の私の返事はこうだ。
「今日は忙しいの、ごめんね」
 決して、嘘ではない。寝て体力を回復させるのに忙しかった。動くのがおっくうだった。
 身も心も擦れていく、そんな日々送っていた。

『ただでさえ家と自宅の往復なのに、遊ぶことすらままならないなんて!』

 そんな愚痴を、ある日、たまたま珍しく父親と二人で買い物に出かけた時、口にした。
「世の中、そんなもんだよ。たしかに就業時間に問題はあるが、見放されているより認められている方がずいぶんいいと思うが」
 そう父は言った。確かに、ここ一年で解雇されたアルバイトは何人もいる。わがままなシフト希望を出す学生にも、ほとほと苦労した事もあった。