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「バイクは楽しいですか?」
「ん? 楽しいよ。バイクなんて自己満足の極みだからね。楽しくないのにバイクに乗ってる人なんて、スクーター乗ったオバチャンくらいじゃないかな? ああ、いや、あれはあれで楽しんでいるのかもしれないから偏見はいかんなァ」
「自己満足」
「車は移動手段としては当たり前として、人も五人は乗れるし大きな荷物も載る。楽しいというより便利な道具だよね?」
「確かに」
「でも、バイクは?」
「荷物もあまり載らないし、人も乗せられてプラスで一人ですね」
「でしょ? そんなものに数十万から数百万のお金出すのに楽しくないわけがない」
 わかりやすい話だ。確かに、普段の生活においてバイクの必要性は無きに等しいかもしれない。
「まァ、そんなバイク乗り達の間でもいろんな楽しみ方があるのさ。俺はこうしてバイクに乗ってキャンプの旅をするのが楽しくて仕方ないんだな。鍋のままで食う蕎麦が美味いだなんて理解し難いだろうけどね。羨ましがられる事もあるけど、いざ、その一歩に踏み込めるかが、バイク乗りとそうじゃない人の違いなのかもな。我ながら良い理論だな。うん」
 自分の言葉に頷いてみせる。口からでまかせではないだろうが、思いつきの言葉だったのかもしれない。ただ、素直に、自然に発せられた意見にはそれなりの説得力があった。
「なぜ、父はバイクに乗らなくなったのでしょうか」
「君が生まれた時にでもお母さんにバイクは危ないから止めてって言われたんじゃないかな。いたって一般的な、よくある話だよ」
 確かに言いそうだ。母は現実主義の見本誌みたいなものだから。きっと、帰ればアルバイトを辞めたこともクドクドと責め立てるだろう。