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朧木君の非日常生活(11)

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「今までとさほど変わらないように見えるけど……」
「滑稽だよ、朧木くん。実に滑稽だ。何故、その『さほど』の違いを追おうとしないんだい?」
確かに言われてみればそうだ。
ましてやこの状況下なら尚更だ。
些細な疑問?些細な違いを見逃すと大きなもの一緒に見逃している可能性もある。
今この状況下にいるなら全ての物に疑問を抱き、全てのことを見逃してはいけない。
今、この場で信じていいのは目の前で笑みを浮かべている男、蜻蛉愁尓のみだ。
「答えは『子供』だ。この家にだけ子供の生活感がある。僕がさっき抱いた違和感はこれだったんだ」
そう言い蜻蛉さんはLED式のライトで一本の柱を照らした。
俺は、そう言われ蜻蛉さんが照らした柱を凝視した。
そこには、彫刻刀で彫ったようなメモリに三桁の数字が彫られていた。

そう、身長を記録していたであろう痕跡。

柱が腐食していて年齢は読み取れないが、身長は110センチ程度で止まっていた。
「本当だ・・・・・・でも何でここでやめちゃったんだろう」
「不思議なのはここからさ、朧木くん。この家には子供に関係するものが、今のところ何一つ、ない。でも、これだけではいくつかの仮定が出来てしまう。例えば、親戚に預けられたとかね。仮定をあげればキリがない。そこで出てくるのがさっきの泣き声だ。この泣き声というより感情の奔流のおかげで一つの限りなく確定に近い仮定が生まれる」
そうか、蜻蛉さんが言いたいのは、