朧木君の非日常生活(11)
「それはそうと朧木くん。真面目な話に移るよ」
「何?」
「さっき、僕は『何か』が変だ、と言ったよね? その正体が分かったよ。さっきの泣き声にヒントをもらってね」
なんだろう。俺には全くもってわからない。
LEDライトに寄って照らされた民家の中は、今までの民家とさほど変わらない。
不気味なまでに変わらない。
鎌鼬村の住人は皆似たような生活をしていたのだろう。
それほどまでに似ている。
思考を巡らせている俺に気づいたのか、蜻蛉さんは少しの笑みを浮かべていった。
全てを見透かしたかのように。
ひっそりと、笑みを浮かべながら。
「『生活感』の違い、だよ」
生活感の違い?
作品名:朧木君の非日常生活(11) 作家名:たし