朧木君の非日常生活(11)
「死んでしまったんだね?」
「正解だよ、朧木くん。この民家の子供は何かしらの理由で死んでしまった」
「それじゃ、さっきの泣き声はこの民家の死んでしまった子供の幽霊なの?」
幽霊・・・・・・こんな集落が目の前に現れるんだ。今更、幽霊だと言われても驚きはしない。
「朧木くん、僕は幽霊の存在を否定する人間だ。『何か』と聞かれたら答えは『分からない』だよ」
・・・・・・・・・なんか屁理屈くさいな。
「それにさ、朧木くん・・・・・・この民家は、子供が」
と、蜻蛉さんが言った時、カタッと静かな物音がした。
反射的に身体を震わせ、俺はその物音の方へと顔を巡らせた。
右斜め前方。
作品名:朧木君の非日常生活(11) 作家名:たし