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CROSS 第6話 『死守』

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 魔こう炉の近くには、数人の守備隊の兵士がいたが、敵兵の接近に気づくのが遅れたせいで苦戦していた。
「ここを死守しろ!」
その数人の兵士たちのリーダーの男が鼓舞した。だが、流れ弾が彼の頭に命中してしまう……。残りの兵士たちは、今にも逃げ出しそうな表情を見せていた。
 そこに、守備隊の兵士の一団が応援にやってきた。それに安心した兵士の1人が牽制射撃をやめると、敵兵からの銃撃を受けた。
「かなりの敵がこっちに来るぞ!」
少尉が一番近くに接近していた敵兵をピストルで撃ち抜いてから叫んだ。言われるまでもないといった感じで、守備隊の兵士たちは応戦した。相手側の急な増援に、勢いづいていた敵兵たちは混乱し始め、あっちいったりこっちいったりしていた。敵兵たちがいるのは遮蔽物がほとんど無い荒野なので、「動く的」と化していた……。

 塹壕と魔こう炉近辺での攻防は、それから30分ほどで敵側が退却して終わった。後方へ逃げていく敵兵を撃ちながら、CROSSや守備隊は歓声を上げて喜んだ。しかし、
「次の攻撃に備えろ!!! ヤバいのが来るぞ!!!」
山口の一言で歓声は止み、隊員や兵士たちは持ち場へ戻っていく。そして、今の敵が突撃してきた方向を睨み始めた。

 今まで敵がいた荒野は、暗闇でもわかるほど荒れ果てていた……。後で整地する必要があるだろう。
 地面のあちこちに、迫撃砲弾や手榴弾による穴が開いており、その穴の中に敵兵の死体が転がりこんでいた。穴の中に限らず、敵兵がいた一帯が死体だらけであった……。死体にはもうハエがたかっており、小さな羽音が聞こえてきた。死体から出る異臭は、塹壕内にも流れ始め、何人かが夕食を吐いていた。
 負傷兵は特務艦に転送してもらった。そのために、転送室に医療部が待機していたのだ。


 さきほどの敵側の指揮官は、残った兵士たちを連れて、CROSSたちの攻撃が届かない位置に隠れていた。残った兵士の他に負傷兵がたくさんおり、衛生兵による救護を受けていた。
 指揮官は気が進まないといった表情で司令部と通信を始めた。
「……司令官、60%の兵力を失いました……。正面や後方からの挟みうちは失敗しました……」
指揮官がそう司令部に告げると、司令部側から机をガンと殴る音が聞こえてきた。そして、気まずい間が空いた後、
「……モビルスーツを投入する!!! それの後に続き、塹壕を突破しろ!!!」
司令官は大きな声でそう伝えてきた。あまりの大声に指揮官は少し驚いたが、
「了解しました!!!」
指揮官は司令官に負けないほどの大声でそう答えた。幸い、その大声は、山口たちがいる塹壕までは届かなかったようだ。