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CROSS 第6話 『死守』

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第5章 夜が明けて……



 ――少し時間がかかったが、残りの敵兵をすべて掃討することができた。

 最後の敵兵が倒れたとき、ちょうど夜が明けた。すがすがしい朝日が、あちこちに転がっている死体を照らす。
 山口たちはもうクタクタだった。山口が、特務艦のヘーゲルに戦闘終了の連絡をしたとき、ヘーゲルは少し眠そうだった。向こうは向こうで大変だったのだろう。
 守備隊が守っていた場所へ、様子を見に行ってみると、そこは地獄絵図だった……。大勢の兵士が死んでおり、生き残っている兵士は、20人もいない有り様だった。
「次の攻撃のときはどうしよう?」
山口は、すっかり力を失っているガリアとウィルにではなく、佐世保に尋ねた。しかし、佐世保は空を眺めていた。
「おい、佐世保。おまえまでそんなんじゃあ、オレはどうすりゃいいんだよ!?」
「山口さん、私たちは帰れそうですよ」
「何?」
佐世保は空を指さした。

 空の一部で、青い電流が激しくスパークしていた。そして、その電流は、大きく円状に広がる。その円の内側には、三原色の空間が広がっていた。
「ああ、帰れそうだな」
山口は、ほっとした様子でつぶやいた。

 その青い電流の円の向こう側から、『大日本帝国連邦陸軍』と印されている浮遊兵器が次々と飛び出してきた。
「陸軍本隊の『エアリアル』ですね」
「もうちょっと早く来てくれれば、楽できたのにな」
山口たちがそう話していると、目の前に一機のエアリアルが着陸した。着陸するとすぐに前部のハッチが開き、中からCROSSの誰よりも重武装の兵士たちが降りて来て、辺りを警戒していた。他のエアリアルも次々と着陸して兵士が出てきていた。
 山口たちの目の前に着陸したエアリアルからは、兵士たちの後に、指揮官と見られる山口より少し若いと見られる茶髪の少女が嫌そうな顔つきで降りてきた。両肩の襟章から、山口と同じ少佐の階級だとわかる。
「CROSS、すぐに撤収して司令部へ」
それだけ言うと、またエアリアルへ戻って行った。中にはこの女性指揮官と同じぐらいの年頃の将校たちが、山口たちを無言で睨んでいた……。それに返事をするかのごとく、山口と佐世保は舌打ちする。
「それじゃあ、佐世保、撤収してやろうか?」
「しかし私たち、あいからわず嫌われていますね……」
「オレたちがたくさん儲けているから嫉妬してるのさ!」
山口と佐世保はヘラヘラ笑いながら、わざと中にいる女性指揮官たちに聞こえる大声で話した。しかし、女性指揮官の右手から電流が走りだすのを見た山口たちは、全力でその場から走り去っていった……。その後ろをガリアやウィルや隊員たちがついていった。