CROSS 第6話 『死守』
弧を描いて飛んでいったグレネード弾は、モビルスーツが右手に持っていたマシンガンに当たり、爆発した。
グレネード弾が爆発したマシンガンは、修理しようがないほどボロボロに破壊されていた。モビルスーツは壊れたマシンガンを地面に叩きつけると、左腰にあった剣を抜いた。そして、山口たちに向かって振り下ろす。
「ヤバい!!!」
山口がそう叫び、オートバイ型ロボットは急発進した。
ズドォォォン!!!
……剣の直撃は逃れられたが、地面の大きな振動でオートバイ型ロボットは転倒し、山口は地面を転がる。
モビルスーツは剣を頭の上に上げて構えながら、転倒した彼に向かって、ゆっくり歩いてきた。彼は逃げようとしたが、転倒で腰を痛めたらしく、立ち上がることができないようだ。佐世保たちが、銃撃でモビルスーツを気を引こうとしたが、あっけなく無視されてしまった。
そして、モビルスーツは、山口のすぐ目の前まで来た。彼の耳には、佐世保たちの必死の銃撃音と近くで立ち上がろうとしているオートバイ型ロボットのモーター音と、少し遠くから聞こえてくる塹壕の喧騒が、空しく響いていた……。
ガァーーーン!!!
……そんな山口の耳に、今度は堅い金属を貫く音が聞こえてきた。何の音かと彼が思った時、佐世保が猛ダッシュで駆け寄ってきて、近くの爆発穴に彼をひきずりこんだ。彼の横に彼女が耳を押さえて伏せる。彼も耳を押さえた。
ズドォォォン!!!!!!
何か大きな物が爆発する音がした。いくつもの小さな破片が、山口の体の上に落ちる。煙が周囲一帯を覆った。
――煙が落ち着いたころ、山口は佐世保の助けを得て穴から這い上がった。
作品名:CROSS 第6話 『死守』 作家名:やまさん