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CROSS 第6話 『死守』

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   ドォーン!!!!!!

 その時、敵のほうから迫撃砲や手榴弾ではない爆発音が聞こえてきた。金属がきしむ音も聞こえてくる。
「対モビルスーツ地雷だな!」
山口が微笑んで言った……。そんな彼の目の前に、爆風で飛んできた敵兵のちぎれた腕が落ちてきた……。
 敵モビルスーツは片足を失い、「カタワ」になっていた……。ちぎれた右足の付け根から出ている導線からはスパークが散っていた。敵モビルスーツは、すぐにバランスが取れなくなって、背中から後ろに倒れていった。その際、何人かの敵兵が下敷きになった。倒れたときの振動が、塹壕の中までも揺らした。
「……ああいう変な死に方はしたくないわね」
佐世保がつぶやく。

 倒れた敵モビルスーツのコクピットから、パイロットが這い出てきた。やはりパイロットは、このモビルスーツ『ジン』の元の持ち主と同じ「人種」ではなく、ただの神羅兵だった。
 その敵パイロットに向けて、山口たちは一斉に銃撃する。彼らの銃弾は、敵パイロットに命中し、奇妙なダンスを踊らせる。そして、血を盛大に撒き散らしながら、コクピットに沈んでいった……。
「死んだ奴らの仇だ!」
ウィルが、敵モビルスーツに向かって叫んだ。

 突然の振動が気になった隊員たちが、退避所からおそるおそる出てきて、倒れた敵モビルスーツを見た。その瞬間、隊員たちは歓喜の声を上げたが、敵兵が塹壕に向かって突撃してきていることがわかると、すぐに緊張した表情に戻った。そして、戦闘体勢に付き、最初の戦闘のときと同じことが構図となった……。

 山口は少し休もうと塹壕の地面に腰を降ろした。地面に転がっている空薬莢が少し痛そうだった。そして彼は、胸の小型通信機を使って特務艦のブリッジと通信を始めた。モビルスーツを撃退したからか笑顔だった。
「おい、ヘーゲル。敵のモビルスーツをやっつけてやったぜ!」
山口は元気良く言った。
「山口さん、ちょうど良かったです。 ……良いニュースと悪いニュースがありますが、どちらからお伝えしましょうか?」
「……使い古されたセリフだな。それじゃあ、良いニュースから!」
「良いニュースというのは、援軍が向かっていて、彼らが我々の任務を引き継いでくれるそうです」
「おお、それはいいな! 少しでも早く交代してもらいたいよ!
 ……それで悪いニュースは?」
「ええ、山口さん。悪いニュースというのは、もう1機の敵モビルスーツがそちらに向かっているということです」
ヘーゲルのその言葉に、山口は凍りついた……。
「山口! モビルスーツの推進音が聞こえます!」
椿の声で、山口は我に返る。
「……ヘーゲル、応援をいそぐように言え!」
「了解です」
山口は通信を終えると、音がするという方向を見た。暗闇の向こうからモビルスーツがこっちに向かって飛んでくるのがわかった……。