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夏色の麦わら帽子 -ノンフェイス予告-

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 寄せては返す波の音が、ケイトの耳元を撫でるようにたゆたっている。周囲はきらきらとした光に満ちあふれているのに、彼女は目を細めることなくその場に立ち尽くしていた。
 幼いケイトはある男の影に呑まれていた。
 言葉を交わしたかどうかは分からない。ただその男が、どういった男であるかは分かっていた。大きな手のひらが伸びてきて、小さな頭の上に載せられる。
 ざざん……ざざん……
 まるで急かすように近づいて来る潮騒から逃れるかのように、男は短いマントのようなものを翻す。瞬間、ケイトから影が引き、彼女は光に呑まれたが、その視界が眩むことはなかった。男に被せられた麦わら帽子が、彼女の視界を守ったのだ。