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オルコンデリート(前編)

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 取り上げた電話で相談役の子は、今まさに、問題の彼氏と通話し始めた。
「ちょっと!あんたねー!」
三棚井は、向島との会話に集中する限界に達してしまった。
「ここ、出よう」
「え?」
「ここではゆっくり話すことが出来ない」
「え、そう?タバコも吸えるしいいじゃない」
「うるさいから出よ」
向島が承諾する前に、三棚井は席を立った。キョトンとしながら向島はその後を着いて出た。
 外に出ると、澄んだ夜風が吹いていた。駅までの道、三棚井は向島と肩を並べ、やや俯きながら歩いていた。久坂は何をしたかったのか。久坂はどこに行ったのか。三棚井は限られた情報を頼りに、考えを巡らす。
「今回の原稿、どうしようか」
「そうね、困ったわね。普通には公開出来ないものね」
「落ち着くまで待とうか」
「そうね、一応刑事さんにも相談した方が良いかも。変に明るみになっても良くないかも知れないし。ところであなたインタビュー中の久坂発言は、刑事さんに話したの?」
「いや」
「何で?」
向島は歩を止めた。つられて三棚井も足を止めた。
「何で話さなかったの?」
「いや、その、忘れてた、話すの」
「後から話したら、おかしいと思われるじゃないの。何で言わなかったんだって」
「いや、忘れてただけだよ。疑われるようなことじゃないだろ」
向島は厳しく三棚井を見ていた。