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オルコンデリート(前編)

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「何だよ、怒ってんの?何か悪いことしたかな」
「あんなにこだわってたじゃないの、言ってることおかしいって」
「何か分からない事情があるって、自分だって言ってたじゃないか。だから、大した問題じゃないんだって、俺も思ったんだよ」
三棚井は向島の発言よりも、その半ば怒りの眼差しにイラ立った。
「何を今更、『自分も注目してました』みたいに熱くなっちゃってる訳?そんなに気になるなら、今から署に戻って言ってくればいいじゃない」
バカバカしいと呟いて、三棚井は歩を進めた。
「いいわよ、言って来るわよ。今更で悪かったわね」
向島は署に向かって歩き始めた。二人は真反対の方向に向かって歩いた。署に戻るよりも、駅の方が近い。間もなく駅の入り口という辺りで、三棚井は振り返った。少し向こうの街頭の下を通過する向島の姿が見える。バカバカしいともう一度呟いて、三棚井は駅の階段を下りた。