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しーちゃんのこと

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店は客を選べないというが、客も店を選べない。こういう業界はとくにインチキめいたことが溢れていて、写真と実物が違うなんてザラ。渋谷界隈のお店はフォトショップ使いまくりで、写真は人物の原型を留めていないほど加工されている。大げさに言えばSFX並みの加工画像なんて当たり前の世界。それだけでなく、働く気がないのに勤めている娘も多い。これが風俗だからと考えているのなら、多分ほかの仕事もまともに勤められないはずだ。イヤなら辞めろとしか言えない。それが新聞配達でも、コンビニ店員でも、同じことじゃないか。「イヤなら辞めろ」を客に言わせるなよ、そんなことをしょっちゅう心でつぶやいている。

 しーちゃんはその点において随分違った。彼女には覚悟があったから、仕事を一生懸命やっていたのだ。これも余談ではあるが、風俗嬢には大きく分けて3つのタイプがある。1つはやる気のない嬢。さっさと辞めた方が本人にも店にも客にもいいタイプ。もう1つが家庭の事情。借金を返済するために家族を助けるという嬢もいる。そういう人は一生懸命なのだが、見ていて辛くなる。もう1つが、目標のために働く嬢。割と海外に行きたい、留学したいという願望を持つ娘が、手っ取り早く金を貯めるために働くというケースが多いようだ。しーちゃんは3番目のタイプだった。友だちと店をやりたいと言って、資格取得と資金稼ぎをとしてこの仕事を選んでいた。
 僕はその考え方に賛同していた。僕が店に来れば、当然彼女の稼ぎが上がる。僕みたいなモンでも、人の夢に協力できることを快く思った。
作品名:しーちゃんのこと 作家名:佐藤英典