小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ツカノアラシ@万恒河沙
ツカノアラシ@万恒河沙
novelistID. 1469
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

有馬琳伍氏の悲劇、もしくは24人の客

INDEX|9ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 

I氏の手記と鍵


 ヘルベルト・ファン・クロロック伯爵の灰の一部を私が手に入れた時の話をしよう。あれは、私がまだ血気さかんで、冒険好きの頃だった。その頃から、私は普通はヒトが欲しがらないような奇妙な物に興味があった。ある時、出入りの商人が変わったものを手に入れたとかで、私に会いに来た。商人の持ってきたものは、灰の入った壜であった。商人が言うには、高名な吸血鬼『ヘルベルト・ファン・クロロック伯爵』の灰であると言う。暫く前に、『ヘルベルト・ファン・クロロック伯爵』は吸血鬼狩りで滅せられ、その時に出来た灰だという事である。どうやら、相性の良い人間に灰を飲ませて、ある方法で暫く育てると『ヘルベルト・ファン・クロロック伯爵』が出来るらしい。別に私は吸血鬼を作るつもりはこれっぽっちもなかったが、面白いので購入する事にした。それから、私は奇妙な物を集めるのが趣味になり、私は何も考えず百八の危険な品を集めてしまったのである。我ながら、間抜けな事である。私が死んだ後、この物達を一体どうやって管理させれば良いのだろうかと思い悩んでいた時、娘の忘れ形見の孫息子が成人まで生きる可能性がない事を知った。そして、私は決心した。私の友人の末息子であり孫息子の幼馴染に頼んで、若狭でとある物を手に入れさせ孫息子に食べさせたのである。これで、この子は八百比丘尼のように死ぬ事はあるまい。そして、孫息子を例の物を閉まった扉の鍵の隠し場所にすることにした。これでも、若い頃は魔道の道を目指したものである。
 どうやら、術式の解読が間違っていたようだ。まさか、あんな事になるとは。これでは、更に鍵を作るしかないのだろうか。仕方なく、私は私の友人の末息子に相談した。友人の末息子はひとつ返事で承知してくれた。ありがたいものである。そんな時、あの馬鹿息子が、友人の末息子を殺してしまった。あの婿養子も、妾の女も友人の末息子を失踪したものとして、事件をもみ消すらしい。私はどうにか彼を焼いて始末した際の灰を手に入れる事ができ、ひとつの薬を作った。そして、私は私の友人にその薬を渡したのである。願わくば、その薬を使用する日が来る事を願う。その後、孫息子が欧州へ追いやられる際に、わたしは若い頃からの友人であるミラルカ・オルランドゥ公爵夫人に孫息子を預ける事にした。これで、地図と鍵の番人と番人を開ける者がいなければ、鍵は開かない。我ながら、自画自賛である。
 (読後の感想。かなりいいかげんで自己中心的な、じいさんである)