有馬琳伍氏の悲劇、もしくは24人の客
U嬢のお人形と墓所
私のお人形はいい人形。闇のように黒いドレスに、喰いつきたくなるほど赤い唇を持っています。私のお人形はいい人形。アスラバスターのように白い肌に、櫻貝のようなピンクの小さな爪を持っています私のお人形はいい人形。凍ったような黒い瞳と、纏足したかのような小さな足を持っています。私のお人形はいい人形。絹を裂くような可愛らしい謳い声と、苦悶に歪むような魅力的な笑顔を持っています。私のお人形はいい人形。飽きてしまったので解体して、箱に詰めました。どくどくと赤い液体を出てきて、折角用意した素敵な箱を汚してしまいました。仕方ないので、私は泣く泣く、お人形をお庭に捨てに行きました。お庭にはオトモダチの可愛いお墓がいっぱいあるので、今度のお人形もきっと寂しくないでしょう。私は精一杯歌って踊ってお人形を慰めてあげました。
夜になったら、次のお人形を狩りに町に行きましょう。黒ウサギさんと大ハサミを持って出かけましょう。次のお人形はどんなのが良いでしょう。不思議の国へ行った少女、それとも中国娘、それとも絵草紙のお姫様。私の胸は期待にどきどきしています。さぁ、街に狩りに行きましょう。
作品名:有馬琳伍氏の悲劇、もしくは24人の客 作家名:ツカノアラシ@万恒河沙