小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」
ツカノアラシ@万恒河沙
ツカノアラシ@万恒河沙
novelistID. 1469
新規ユーザー登録
E-MAIL
PASSWORD
次回から自動でログイン

 

作品詳細に戻る

 

有馬琳伍氏の悲劇、もしくは24人の客

INDEX|16ページ/25ページ|

次のページ前のページ
 

P氏の散歩と冬の書肆


 P氏は散歩の途中に変わった店を見つけた。ある街角にあった、古い書店。貸本屋『世良柄野』と書かれた古びた看板。どうやら本を売るのではなく、本を貸してくれるらしい。興味を惹かれ店内に入ると、そこは本の海だった。背の高い本棚にぎっしりと詰まった、本。古びた本の背表紙には、見慣れぬ文字が並んでいた。P氏が店内に入るときの音で気がついたのか、店内にいた和服姿の少女と見間違うような少年が振り向いた。少年は奥に向かって、珍しく客が来たぞと声を掛ける。そして、いらっしゃいませと言いながら現れたのは一人の青年。少年と良く似た和服を着ていた。もしかすると兄弟か何かなのかもしれない。ここにある本は何ですか、見た事もないのですが。と、P氏が尋ねる。青年は、少し笑って、少々変わった品揃えをしていますが、結構来るヒトはいるのですよと言って笑った。そして、呪われし「アル・アジブ」に、冒涜的な「屍食教典儀」や「妖蛆の秘密」とか言う本を見せてくれた。どうやら、なかなか手に入らない本らしい。青年と色々な話しをして、P氏は帰った。数日後、P氏が同じように散歩に出たが、貸本屋『世良柄野』は二度と見つからなかったそうである。