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ツカノアラシ@万恒河沙
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有馬琳伍氏の悲劇、もしくは24人の客

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L氏のアパートと眠り姫


 どこかの町の小さな四階建てのアパートにて。部屋の中には、天蓋つきのアンティークな銀色の寝台が置かれていた。天蓋から流れるような薄物のレースはひらひらと舞い、銀色に塗り複雑な彫りを加えられた寝台の柱には薔薇の造花が緑色した蔓とともに芸術的に纏わりつかせてある。お姫様の寝台と言い切って構わないような出来である。寝台の上には、死んだように誰かが眠っている。眠っているのは美しき眠り姫か。童話の中の場合であるのならば、眠り姫のように美しいお姫様が眠っているのだろうと想像するだろう。残念ながら童話の中どころか、この光景は私のアパートの部屋にいつのまにか繰り広がられていたのである。だいたい、この寝台はどこからやってきたのだろうか。私には全く皆目つかなかった。そもそも、この小さなアパートに運び込む時に誰にも不振に思われなかったのだろうか。私は多少の期待をしながら寝台に近づいて寝台の上を覗き込んだ。この状況、多少の期待をしても神はお許しになるに違いない。寝台には銀色の王冠を被ったミイラ姫が鎮座していた。真珠のように白い歯、扇状に広がる黒髪、そして胸の前で組まれた形の良い手。永遠の眠り姫。接吻をしようが、水を掛けようが彼女は目を覚まさないに違いない。ミイラ姫の手には、何やら白い封筒。白い封筒には金色の飾り文字で『招待状』と書かれていた。
 どうやら、この招待状を渡すために誰かがミイラ姫と寝台を用意したらしい。しかし私は招待状よりも、現実問題として目の前の寝台とミイラ姫をどうすれば良いのか悩んでいた。やはり燃える日に出すしかないのだろうか。途方にくれたまま、夜は更けていく。