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朧木君の非日常生活(9)

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翌朝十一時。
俺は、見るからに平凡なアパートの前に佇んでいた。
そんな俺も平凡で平然で、
「弊害だね」
「始まりは挨拶だ!」
朝から調子いいな、この人。
そんなんじゃ社会を生き抜いて行けないよ?
ま、俺も社会に出たことないけど。
「くくく、朧木くん、君は実に面白いね。切実に感嘆だよ」
そう、俺はこの胡散臭い男。蜻蛉愁尓に言われた通り、朝の十一時にわざわざやってきたのだ。
昼夜逆転生活の中で、だ。
本当に感謝、拍手喝采されたいくらいだよ。
「それで、蜻蛉さん。今日の目的地って何処なの?」
何も聞かずに来る俺はなんてお人好しなんだ。
長所であり短所なんです。
何事にも巻き込まれやすいんです。
「目的地・・・・・・? あぁ、朧木くんにはまだ伝えてなかったね」
まず、呼び出したからには目的地を言ってよ。
ま、知らないで行くのも楽しそうだから、どっちでもいいけど。

作品名:朧木君の非日常生活(9) 作家名:たし