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朧木君の非日常生活(9)

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「━━首括村」


「嫌だ、帰る」
さっきの訂正。
楽しくなんてない。
むしろ怖い。
知らずに行ってたら泣いていたよ。
「首括村を知っているのかい? 朧木くん」
「知らないわけないだろ!」
有名すぎるくらい有名だ。
考えようによっては、個人的に富士の樹海よりも怖い。
「首括村って言ったらあれだろ・・・・・・? 色んな噂がある村。死人がどうとか、行くと死ぬ、とか」
 確かまだまだあるけど。
 まだまだあるからこそ、行きたくない。
 「知っているなら話が早いな、朧木くん。そう、首括村。別名━━鎌鼬村」
 ・・・・・・鎌鼬村?
 聞いたことないな、そんな呼び名。
 「ここまでは知らないか、朧木くん。首括村はね、元々は鎌鼬村という名前だったんだよ。けど、僕たち人間の噂話が先走りして、何処でこじれたのか『首括村』という名前になったんだ。首を括る、という意味でね」
 「どっちにしろ、不気味には変わりないよ、蜻蛉さん」
 鎌鼬っていっても妖の類じゃないか。
 住む世界が違うよ。
 「鎌鼬村、色んな説があるよね。村人全員が誰かに惨殺されたとか、鎌鼬村には日本人形が歩いているとか、死にきれなかった村人の怨念のがさまよっているとか、それこそ鎌鼬が出るとか・・・・・・それと・・・・・・自殺の名所でもあったかな」
 「だから! 何でわざわざそんな噂がある場所に行かなきゃいけないの!?」
 「何でって決まってるじゃないか、僕は都市伝説解決事務所の所長だよ? 僕が解決しに行かずして、誰がこの都市伝説を解決しに行くんだい?」
 「知らねーよ! 誰かが行くよ! てか、一人で行けよ!」
 すると蜻蛉さんは一瞬の沈黙を作り、言った。
 「さすがに一人は寂しいじゃないか」
作品名:朧木君の非日常生活(9) 作家名:たし