朧木君の非日常生活(9)
「あー、分かったよ」
「滞在期間が長くなると思うから、ちゃんと用意を持ってきてくれよ、朧木くん」
「ちなみに、どれくらい滞在するの?」
「どれくらいとは面白い質問だね、朧木くん。都市伝説が終わるまでさ」
それ、答えになってないよね?
「この世に答えなんてないんだよ、朧木くん。だから、面白い」
「知らねーよ!!」
まずその読心術を何とかしてください。
やりづらさMAXです。
「やりづらさMAXとは、これまた面白いね、朧木くん。やりづらさは日本語。MAXは英語。日本語と英語が混ざってるよ。造語というのかな? 何故、日本人は日本語と英語を組み合わせたがるんだろうね。外国人は決して英語と日本語を組み合わせないのに」
「だから知らねーよ!」
英語はカッコイイからしょうがないの。
しかし、本当に読心術には触れないな。
「あいにく僕は、触れたくない話題に自ら触れに行く勇気を持ち合わせていないんだよ。実に滑稽だよ、僕は」
あ、そうだ。
スルーしよう。
この滑稽で狡猾な人はスルーが一番。
「んじゃ、蜻蛉さん。明日十一時にまた来るよ」
「それじゃ寝坊しないで来てくれよ、朧木くん」
「了解」
俺はそう会話を締めくくり、来た道を逆に歩き始めた。
要するに帰宅した。
作品名:朧木君の非日常生活(9) 作家名:たし