朧木君の非日常生活(9)
「さて、行こうじゃないか、朧木くん、鬼火ちゃん」
蜻蛉さんはそう言い無人の改札を抜けた。
勿論、俺と鬼火ちゃんは蜻蛉さんの後に続いた。
あっ、そうだ。
もうこの際話そうかな、鬼火ちゃんに。
「鬼火ちゃん、歩きながら話すよ、ここに来た理由」
「本当にー?」
「うん、長くなるけど、ちゃんと聞いてね」
今日ここに行き着いた理由。
歩きながら話そうと思う。
「これは俺と蜻蛉さんが出会った時の物語なんだ、鬼火ちゃん」
「うんうん!」
そう、この話を語らずには始まらない話。
語らずにはいられない話。
作品名:朧木君の非日常生活(9) 作家名:たし