冒険倶楽部活動ファイル
それからさらに時間が過ぎてもうすぐ5時になろうとしていた。
日が傾き始めて夕方となった。
もうすぐ音楽が鳴るから帰らなきゃいけない。
「動物は分かった。でも数の意味が分からない……」
十波君は凄く悩んでいた。私もさっきから考えてるけど大して役に立たなかった。
最近推理物がマイブームって言ったのに私には推理の『す』の字も無かった。他の子達も手伝ってくれれば良いのに…… 今羽須美ちゃん達は影踏みをして遊んでいる。
「影?」
私は黒く伸びた陰を見て暗号の蛇の絵を見る、どの動物よりも大きくて長い蛇、そして蛇が見つめる宝の文字……
「そうか、影よ十波君!」
「え?」
黒い蛇は数が書いてない。
確かに十二支の蛇(巳)である事は間違いないけどこれは他の動物と違って別の考えが必要だった。
色は影、蛇は時間を指し示していたのだ。
「そうか…… つまり巳の時間、この場合夕方の5時だ。」
でも5時まであと少し、しかも日の沈む時間は季節によって違う、春夏秋冬のどの季節の5時なんだろう。
「いや、今でいいと思うよ?」
「どうして?」
「だってシゲさん言ってたろ、『今なら大丈夫』って、つまり今の時期でも大丈夫って事だよ」
「そうか、じゃあ後は動物の隣りの数だけね」
「ああ」
黒い蛇と違って数字が書かれてる、つまり時間じゃ無いって事になる。
「もしかしたら全部の数字を合わせるんじゃない?」
「いや、もしそうなら蛇も数字が書かれてるはずだ。もしかして十二支がヒントになってるのかもしれない」
つまり黒蛇(巳)が時間を指し示したように他の動物は別の何かを暗示してると見て間違いない。つまり時間以外の何か……
「時間以外なら…… 方角?」
「方角? そうか。それがあった!」
方角にすると鼠は北、兎は東、西って事になる。でもそれでも数字の謎が残ってる。
「それなんだよなぁ、僕的には赤い鳥居が鍵になってると思うんだ」
「赤い鳥居?」
私達は赤い鳥居までやって来る。
「恐らくここで何か…… あっ!」
「どうしたの?」
「何でこんな事に気がつかなかったんだ……」
「何、どう言う事?」
「数は歩数だったんだ。謎は全部解けたよ!」
十波君は携帯電話の時計を見ると時刻は5時ジャスト、電柱のスピーカーから音楽が流れた。
でも私達には地図の答えを確めるのが大事だった。
「いくよ!」
鳥居の丁度真下で十波君が言うとみんな真剣な顔で見守りながら頷く、そして十波君は赤い鳥居から一歩踏み出した。鼠(前)に13歩、兎(右)に8歩、鶏(左)に15歩……
「そして」
十波君は太陽光に照らされた影の方を見る、まさに蛇のように伸びた影は蛇のようにある場所を示した。それはこの神社の御神木だった。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki