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冒険倶楽部活動ファイル

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 秀君のお家が見えた時だった。
 いつもは土蔵で待ってるのに今日に限って功治君、羽須美ちゃん、舞加奈ちゃんが門の前で立っていた。
「あ、ほのかちゃ〜んっ!」
 私を見た秀君達は私の側までやって来た。
 そして羽須美ちゃんが私の背中を押し、舞加奈ちゃんと功治君が私の腕を引っ張って土蔵の方へと連れて行った。
 そして土蔵の入り口で待ってたのは秀君と龍太郎君の2人だった。
「ほのか!」
「秀君、これって?」
「いいからいいから、龍太郎」
「ああ」
 すると龍太郎君は部室の扉を開けた。
 そこには奇麗に掃除されて飾り付けられた部室、ホワイト・ボードには大きく『卒業式』と書かれていた。
「これって……」
「見てのとおり、卒業式だよ」
 すると秀君がテーブルの上に何枚も重なって置かれていた長方形の画用紙を一枚手に取ると私に差し出した。
「はい」
「えっと…… それは?」
「ああ、卒業証書だよ。今日はみんなの卒業式だから」
 それは星上冒険倶楽部の卒業式だと言う、
 卒業後は功治君と羽須美ちゃんと舞加奈ちゃんはこの島に残ると言うけど、秀君はご両親がいる海外に、龍太郎君は剣道で有名な私立中学に行く為に島を出る事になったと言う、
「つまり今日で星上冒険倶楽部もお終いなんだ」
 確かに、クラブと言っても名前だけ、さらに後を引き継ぐ下級生がいないんじゃ私達がいなくなったらお終いだ。
 そして秀君は私達の為に卒業証書を造ってくれたと言う、
 秀君はスウッと息を吸うと言って来た。
「えっと…… 河合ほのかさん」
「は、はいっ?」
「貴方はこの星上冒険倶楽部の活動を終えた事をここに証明します…… 卒業おめでとう、ほのか」
 秀君は私に卒業証書を手渡した。
 私がそれを受け取ると他の子達は拍手を送った。
「確かに学校の卒業はみんなでできないけどさ、せめて倶楽部だけは卒業させてあげとうと……」
「やだ」
「えっ?」
「私…… 離れたくない」
 確かに卒業したいとは言った。
 でもそれは学校であって冒険倶楽部じゃない、
 星上島を出て行ったらまた戻って来れると言う保証が無い、さらに秀君達みたいな人達と会えるなんて思えない、ものすごい不安だった。
「もっと冒険したかった。もっと早くにみんなと会いたかったよ」
 私の目から涙が零れた。
 一間置くと私の肩に秀君が手を乗せた。
「それは僕も同じだよ」
「もっと早く、みんなやほのかと冒険したかったよ」
「秀君……」
「だからこれから最後の冒険をしよう」
 秀君は部屋の中から1つの大きな箱を取り出した。
 それはよくスーパーで売ってるお菓子のアルミ缶だった。
 秀君が言う最後の冒険とはタイムカプセルを埋める事だった。
「そうだな、10年後の今日…… 僕達が大人になって、もしこの事を覚えてたなら、この島に集まってこれを空けよう」
「いいねそれ」
「ステキ〜」
「やろうやろう」
「異論は無い!」
「うん」
 私達は今まで冒険で集めた宝物を空き缶の中に治めた。
 ベーゴマ、アクセサリー、パイレーツ・ランドの記念コイン…… さらに私が倶楽部に入る前に秀君達が集めた宝物も納まると最後にアルバムやホワイト・ボードに貼り付けてあった写真を封筒に入れると空き缶の中に仕舞った。
 そしてそれを持って秀君と私の秘密の場所に持って行った。
「へぇ、こんな所があったんだ」
「ほのかちゃんにだけ教えるなんて、随分やるじゃない?」
 羽須美ちゃんは肘で秀君を突付いた。
「何だよ、ほのかが困ってたからだよ」
「ホント〜にそれだけ?」
「は、羽須美ちゃん!」
「できたぞ!」
 龍太郎君が呼ぶとそこには少し深めに掘った穴ができていて、そこにタイムカプセルを埋めた。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki