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冒険倶楽部活動ファイル

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 ゲームが終わって私達は表に出た。
「さてと、じゃあオレは帰るか」
「え、もう?」
「ああ、呼ばれただけだったし…… って言うか君誰?」
「……えっ? 今ごろ?」
 龍太郎君は凄く鈍かった。
 すると秀君が私が河合ほのかだと言う事を教えると功治君の様に驚いた。
「って言うかさっきほのかって言っただろ」
「ごめんね、龍太郎君まで付き合せて……」
「えっ? いや…… そんな事はないよ……」
 龍太郎君は顔を背けて右手の指で頬を掻いた。
「じゃ、じゃあオレはこれで…… あ、そうだ。3時になったら学校に来てくれって……」
「学校? 休日に?」
 龍太郎君はそれだけ言うと私達に背中を向けて帰っていった。

 もうすぐお昼と言う事なので一旦家に帰り、昼食を摂り終えるとゲームセンターで再会、
 町中歩き回って時間を潰し携帯の時計を確認すると学校へ向かった。
「そう言えば最後は誰なんだろうね?」
「最後?」
 それはメールにあった羽須美ちゃんの3人の刺客の事だった。
「1人目は功治君、2人目が龍太郎君だから3人目は舞加奈ちゃんかな?」
 だけど舞加奈ちゃんだったらゲームセンターで出した方が勝つ確率は高かった。
 それなのに龍太郎君が来たのがどうも引っかかった。
「……凄く嫌な予感がするな」
 秀君の嫌な予感は的中した。
 なんと学校で待っていたのは……
「久しぶりだな秀、とうとう決着をつける日が来たぞ!」
「い、鯨那君っ?」
 学校の校庭にはヘリコプターが止まり、パイレーツランドで知り合った海原鯨那君と執事の鈴木さん(鯨那君はセバスチャンと呼んでいる)が待っていた。
「私が呼んだのよ、」
 するとヘリコプターの後ろから羽須美ちゃんと舞加奈ちゃんが現れた。
 しかもご丁寧に画用紙で作ったお面を被っていた。
 羽須美ちゃんのは赤い蝶々の真中に大きなXを描いた仮面舞踏会でつけるようなデザインで首には赤いスカーフ、右手には多分学校に忘れてあった傘を杖のように持っていた。
 舞加奈ちゃんのは端っこに小さなプラスドライバーとマイナスドライバーが貼り付けられたどこかのインテリさんが欠けるようなデザインの左目部分に右目部分は大きな歯車になっていた。
「よくぞここまでたどり着いたわね、私がミスターX、こっちは付き人のDrツインよ!」
「Drツインで〜す!」
 Drツイン(舞加奈ちゃん)も凄くノリノリだった。
 でも何でツイン? やっぱりツインテールだから?
「……羽須美、舞加奈、何だそのお面は?」
 秀君は尋ねた。
 すると2人は慌てて肩をビクつかせた。
「な、何を言ってるのよ? 私はミスターX、断じて羽須美なんて子は知らないわ!」
「そうだよ〜、羽須美ちゃんはミスターXなんだから〜っ!」
 舞加奈ちゃんフォローになってない……
 って言うか私達もう知ってるから、
 そう思っていると今度は鯨那君が一歩前に出た。
「……秀よ、オレは見損なったぞ。コソコソ隠れて河合さんとデートだと? ミスターXが教えてくれなかったらオレはとんでもない後悔をする所だったぞ!」
「いや、それは羽須美が……」
 秀君が羽須美ちゃんを指を差す、
「バカかお前は、こいつはミスターXだ。羽須美な訳ないだろ!」
 鯨那君はすっかり騙されてた。
 バレバレなのに…… 鈴木さんも恥ずかしそうに顔を背けた。
「……本物のバカだこいつは」
 秀君は頭を抑えた。
「貴様ぁっ! 黙って聞いてればオレのどこがバカだ? 大体人をバカにするような奴に河合さんと付き合う資格は……」
 鯨那君は私を見つめた。
 すると小刻みに震えながら信じられ無さそうな顔をして私に向かって指を差した。
「も、もしかして…… か、河合さん?」
「は、はい、河合ほのかです。」
「ぐはぁーっ!」
 すると鯨那君はよろけながらヘリに寄りかかった。
「ぼ、坊ちゃま? いかがなされました?」
「セ、セバスチャン、オレは知らなかった。女の子ってのはたった数ヶ月で美しくなるものなのか?」
 鯨那君はガタガタと震え出すとヘリの扉をあけると薔薇の花束を取り出して私の前に差し出した。
「結婚してください!」
「えええっ?」
 その場にいる人達全てが驚く、鈴木さんも後ろから鯨那君に言う、
「坊ちゃま、それはいくら何でも急すぎるかと、日本に置ける結婚適齢にお2人はまだ達しておりません、まずはお互いの事を知る為に文通から始めなさった方が……」
「ええい、うるさい! 愛があれば年の差なんて関係ない! それにこう言った事をしなければ秀みたいな悪い虫の毒牙にかかってしまう!」
「誰が悪い虫だッ! 誰がッ?」 
「とにかく、お前だけには河合さんは渡さない、勝負だ秀っ!」
「望む所だ!」
 2人供火が付いちゃった。
「ちょっと、あんまり危ない事は……」
 私が止めようとすると後ろから羽須美ちゃんが踊りだした。
 舞加奈ちゃんも一緒になって騒ぎ始めた。
「ああっ、2人の男が1人の女を奪い合い決闘する、そして女はこう言う『私の為に争わないで』って……」
「愛とは躊躇わない事なのです〜っ!」
「2人ともテレビの見過ぎ!」
 しかしこっちとは別に熱くなった秀君と鯨那君の戦いの火蓋が切って落とされた。
「それじゃオレから行くぞ!」
 鯨那君は大きく息を吸う、そして目をカッと見開いてお腹の底から叫んだ。
「シロナガスクジラッ!」
「……えっ?」
 私は顔を顰めた。すると秀君が……
「ラ、ラ…… ランドセルッ!」
「ル、ルーレットッ!」
「と、陶片木っ!」
「く、く、く…… クロマグロッ!」
「し、しりとり?」
 私はグラリと来た。
 すると隣りに鈴木さんがやって来て解説をしてくれた。
「これがお二方の決闘方なのです、知力なら秀徳様の方が上、体力なら坊ちゃまの方が上、ならばどちらも関係のないしりとりこそが決闘に相応しいとお2人が決めた事なのです」
「そうなんですか……」
 白熱している2人を私はただジッと見つめていた。
 今までのどの勝負よりもレベルが低かった。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki