冒険倶楽部活動ファイル
私達は功治君の言うとおりゲームセンターにやって来た。
「何か夏休み以来だね」
私達は以前に夏休みにこのゲームセンターで遊んだ(冒険)事があった。
そう言えばあの時私がクレーンゲームで欲しかったキーホルダーを秀君が取ってくれた事があった。
今でも持ってる。
「格闘ゲームで秀君と舞加奈ちゃん、一歩も退かなかったよね、」
10回やって秀君と舞加奈ちゃんは5勝5敗、決着がつかなかった。
「あいつ格ゲーとシューティングが好きだから、僕はやっぱりRPGかな、」
私はゲームはザ・アルティメット・ファンタジーしかやってない、あれからレベルも上がって上級クエストも受けられるようになった。
最近じゃ鯨那君も参加、『Оcean』と言うハンドルネームで職業は海賊だった。相変わらず秀君と仲が悪いけど……
「お、秀!」
店内に入ってきたのは龍太郎君だった。しかも剣道着姿で……
「何て格好だお前は?」
秀君は尋ねる、
「仕方が無いんだ。庭で稽古してたら羽須美…… じゃないな、ミスターXに呼び出されたんだ。」
ふと扉の外を見るとニヤついてる羽須美ちゃんと手を振ってる舞加奈ちゃんがいた。
「で、今度は龍太郎と戦うのか?」
「戦う? 何で?」
私達の間を沈黙が走った。
「……聞いてなかったのか?」
「いや、羽須…… ミスターXにいきなり呼び出されたから、何やるのか聞いて無くて…… ゲームするにも財布持って来てない。」
もう羽須美ちゃんで良いのに……
「あ、羽須美から……」
秀君がメールを見る、
『最初の部下を倒したからっていい気になってんじゃないわよ、
残りの部下はあと2人、負けたらお姫様は渡して貰うわよ!
健闘を祈るわ! ミスター・Xより』
「しかたない、じゃああれやろうか」
私達はエアホッケーの前にやって来た。
「ワンゲームでいいな?」
「ああ、月曜に返す」
秀君がお金を入れると第2ラウンドが始まった。
「とりゃっ!」
「せりゃっ!」
白いボードを打ち合う2人、最初は秀君の方がリードしていたけれども後半になってくると龍太郎君が追いついてきた。その理由は2つあった。
その1、秀君は視力が弱いので動体視力だけなら龍太郎君の方が圧倒的に上だったからだ。
その2、体力だけなら2人供互角なんだけど龍太郎君は普段からトレーニングしているのでスタミナ配分が出来ているからだった。つまり持久戦になればなるほど十波君は不利になる、
スコアを見ると7対7で同点、後1点とった方が勝ちだった。
「さてと、最後のゲームを行こうか!」
龍太郎君はボードを台の上に乗せる、すると秀君が待ったをかけた。
「ほのか、ちょっと持ってて、」
秀君は私に上着を渡すと真っ直ぐ私の目を見た。
「必ず勝つから」
それだけ言うと秀君は頷いてゲームに戻った。
「龍太郎、悪いけど勝たせてもらうよ」
秀君は口の端を上に上げる、
すると龍太郎君は深呼吸するとボードを打ち出した。
「そうは行かない、勝つのは俺だぁ!」
白いボードが秀君のゴールへ向かって放たれる、
そこへ秀君が渾身の力を込めて打ち返すと縁に当ってジグザグに龍太郎君に向かって行く、
「だりゃ―っ!」
龍太郎君が腕を大きく振って打ち返す、
そして秀君はラケットを持つ右手の肘を少し後ろに引いた。
「はっ!」
ラケットを思い切り突き出すとボードが一直線に龍太郎君に向かって行った。
「このっ!」
龍太郎君は打ち返そうとするがラケットがボードをすり抜けてゴールに入った。
この瞬間秀君の勝ちとなった。
「うああっ! 負けたぁ〜っ!」
龍太郎君は悔しがった。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki