冒険倶楽部活動ファイル
登校すると十波が着ていたので私達は訪ねてみた。
「今度の日曜日?」
「うんうん!」
何故か羽須美ちゃんが張り切ってた。
「う〜ん…… 今度は冒険の日にしようかと思ってたんだけど……」
「そんなの何時でもできるでしょう! アンタは冒険と女の子のロマンとどっちが大切なの?」
「いや、別にロマンって訳じゃ……」
「ほのかちゃんは黙っててッ!」
「は、はい!」
私は言葉を失う、私の小説なのに……
「女の子にとって凄く大切なのよ! それこそ1年に1度、会えるかどうかを期待して互いを見詰め合う織姫と彦星のように!」
「織姫と…… 彦星?」
十波君は腕を組んで考え込んでしまった。
「まぁ無理にとは言わないわよ、鯨那君にでも頼むから。」
「ちょっと待て!」
すると十波君の手が羽須美ちゃんの腕をつかんだ。
「何であいつが出て来るんだ?」
「あ〜ら、秀は自信が無いんでしょう? 鯨那君ならほのかちゃんに優しいし、口だけの秀なんかよりずっと役に立つわよ〜」
いつから何の勝負事になったの?
一方十波君は小説、漫画、アニメの主人公がしてはいけない顔になっていた。
「上等だ。ルールを聞こうか?」
「そうこなくっちゃねぇ、フフフ」
羽須美ちゃんの方はどこかのテレビ番組の悪役みたいに微笑んだ。
「何か偉い事になっちゃったなぁ……」
私はため息を零した。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki