冒険倶楽部活動ファイル
それからすぐ勉強会は終わり一度家に帰る事になった。
「ねぇねぇ、着ていく服どうするの?」
まだ夢の中にいる舞加奈ちゃんを支えて歩いていると羽須美ちゃんが尋ねて来た。
「えっ、このままじゃ無いの?」
「アタシも〜……」
私達の言葉に羽須美ちゃんは目を吊り上げる。
「何言ってんのよ! こう言ったイベントにはそれに相応しい格好しなきゃいけないんだから!」
こう言ったイベントって言ったらやっぱり浴衣? でも私浴衣なんか持ってない。
「私の貸してあげるよ、今から行きましょう。」
私達は羽須美ちゃんのお家にやって来た。商店街にある洋服屋さんが羽須美ちゃんのお家だった。
「ただいまーっ!」
「おかえりなさい…… ってあら、お友達?」
出迎えてくれたのはエプロン姿のショートカットの女の人だった。凄く奇麗な人、お姉さんかな?
「お母さん、浴衣着付けて! あと2人のも!」
「お母さん? お姉さんじゃ無いの?」
私は驚いた。若い、若すぎる。大学生くらいに見える!
「あらうれしい、お姉さんだなんて……」
羽須美ちゃんのお母さんは体をくねらせ照れてしまった。すると羽須美ちゃんが顔を曇らせて私の耳元で囁いた。
(ほのかちゃん、ウチの母さん若作りなのよ、狸が化けてるようなもんだから……)
「羽・須・美〜っ!」
羽須美ちゃんの頭をお母さんの手が鷲づかみにすると羽須美ちゃんは顔を青くした。お母さんは笑顔だけど凄く怒ってるのが分かる。
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki