冒険倶楽部活動ファイル
ファイル4 夢の生まれた日
それから1月後の7月、もうすぐ七夕を迎えようとしていたある日の事だった。
「う〜〜ん……」
自分の席で私は唸っていた。机の上には今日出された宿題がある。折り紙を半分に切った七夕の短冊だった。
「ほのかちゃん、一緒に帰ろう」
そこへ羽須美ちゃんがやってきた。扉の向こうには舞加奈ちゃんの他に知り合ったクラスメートの女子達が3人ほどいる。
「あ、うん」
これ以上考えても仕方ない、明日と明後日は土日だし帰ったら考えよう。
一緒に帰る途中私は羽須美ちゃん達に訪ねた。勿論宿題の事だった。
「え? やってあるよ…… って言うか短冊にはこれから書くところだけど」
羽須美ちゃんの夢はデザイナーになる事だから出来てるも同然だよね。舞加奈ちゃんはロボットを作る事だけど……
「私、今まで考えた事なんて無かったから…… みんなはやりたい事ってある?」
他の子にも訪ねる。
「私はアイドルになるって決めたんだ」
「私は美容師!」
「私ケーキ屋さん。沢山ケーキ食べれそうだし」
みんな夢があるんだ。ちょっとうらやましいな……
「まぁ、なんだったら永久就職でもいいんじゃない〜?」
「永久…… ええっ?」
それって結婚でしょ? お嫁さんって憧れはするけど夢にはならないと思う、たぶん……
「コラコラ舞加奈ちゃん、まずは相手を見つけないと」
「あ、そっか〜」
「さすがに気が早いよ……」
私は苦笑する。
「ん〜、でも将来旦那さんになる人ってどんな人かな?」
「そうよねぇ…… 十波君くらいの人がいいよね?」
「そうそう、十波君ならきっとカッコイイ人になるよね」
まぁそうだろうね。私も十波君なら……
「秀は大変よ、競争率激しいんだから」
羽須美ちゃんは手を振る、ハハ、そうだよね。一瞬私は十波君の白いタキシードを着て教会で待ってる姿を思い浮かべてしまった。何考えてるんだろう私……
「でも将来どうなるかなんて分らないんだし、今やりたい事でいいんじゃないの?」
「やりたい事って……」
私にはやりたい事も特に無かった。あるとすればずっとこの生活が続きたいと思ってるけど……
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki