冒険倶楽部活動ファイル
私達は酒場で食事をしていた。
現実世界なら未成年の飲食は法律は禁止なのだがここはゲームの世界なんだから関係ない、もちろん味も分からない。
「ぷはぁ〜〜っ! やっぱりビールは最高だーっ!」
この世界じゃ大人も子供も関係ない、みな好きな年齢と言う事になる様は気分の問題だった。
ちなみに私は本名で言ってるけどプレイ中のキャラクターはそれぞれが別の名前を付けた。
十波君が本名は止めた方が良いと言うので私は僧侶の『holy』、羽須美ちゃんは魔法使いの『sunny』、舞加奈ちゃんはガンナーで『science』、龍太郎君は戦士で『dragon』、功治君は武闘家の『galaxy』、そして十波君は盗賊で『cross』となっている。しかし皆イメージ通り(自分で言うのもなんだけど)なのに十波君が盗賊なんだろう? 十波君に尋ねると『こっちのほうがカッコいい』と言うのだ。騎士とか詩人とか似合いそうなのに……
キャラ名と本名をゴチャゴチャにしたら非常に分かりにくくなるだろうからここは本名で呼ぶ事にする、でも別にキャラの名前で呼ぶのが面倒だとか言うのではない。あくまでもゲーム内はキャラ名で呼んでる事にして欲しい。
「んもう、親父臭いな〜」
その隣でパスタを食べていた羽須美ちゃんが功治君に言う、
「いいじゃん、本当は今コーラ飲んでるんだから、お父さんのジョッキで……」
私もオレンジジュースを持ってこようかなぁ?
「私なんかカップメン食べてるよ〜」
「朝からそんなの食べてるの?」
このゲームの時間では夜だが現実はまだ朝10時を回ったばかりだった。
ちゃんと朝ご飯作って食べないとダメだよとそんな事を考えていると……
「なぁ、俺達もそろそろクエスト受けてみないか?」
と、龍太郎君が言う、
「ん〜、でももう少し河合さんのレベルを上げてからでも遅くないんじゃないのか? 途中でやられたりしたらレベル上げの妨げにもなるし、武器防具もそろえないといけないしさ、」
私もある程度ゲームはやるから分かるけどなるべく私もレベルと装備を整えてから行くタイプだった。
「何いってんのよ、それじゃ何時まで立っても先に進めないよ。あと1つクリアすればレベル2なのに!」
「……それもそうな、よし、それじゃあ最後のクエストを貰いに行こう」
私達は早速酒場を出た。
「クエストってどこでもらえるの?」
「ギルドだよ」
ギルド、それは昔の職業組合みたいな物である、だけどこの世界じゃこれが主流なんだよね。
「ギルドへようこそ、クエストを受けますか?」
係員のお姉さんにクエストを頼む、十波君が代表してクエストを受ける。
「山賊退治?」
この街から北に行った所に山脈があるのだがそこに山賊が住み付き旅人や麓の村を襲い金品を強奪していると言う、名うての賞金稼ぎ達が討伐に向かったのだが誰一人として生きて帰ってくる者は無く、麓の住人達は泣く泣くギルドに依頼をしたと言うのだ。
でも実際はレベル2以上の人達はこれをこなした訳だから、本当は生きて帰ったのは沢山いる事になる。まして倒された山賊達はゾンビのように何度も蘇り悪事を働いている事になる。
(でもこれを口に出しちゃいけないんだろうなぁ……)
私がそう思って歩いているとやって来たのは武具屋さん、今までレベル上げついでに溜めたお金で買い物をしようと言うのだ。
「これ格好いいなぁ」
「それまだ買えないよ」
ショウウィンドウに飾られている自分と同じくらいの大きさの難しい装飾が掘られた剣を見ていた龍太郎君の肩に羽須美ちゃんが手を置く、ちなみに武器や防具もランクにより装備が可か否が決められる、ちなみに私達はまだランク1、龍太郎君が見ていた大きな剣はランク4からだからまだ先の話になる……
作品名:冒険倶楽部活動ファイル 作家名:kazuyuki