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朧木君の非日常生活(8)

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「朧木くん、訳がわからないって顔に書いてあるよ。実に滑稽だよ。よく考えてみなよ、朧木くん」
何をどう考えたらいいか分からない。
何をどう考えて、この結論に辿り着くかが分からない。
仮定の範疇を越えている。
「いいかい? よく聞いてくれ」
そう言って蜻蛉さんは、ゆっくりと話始めた。
万人を諭すかのように、ゆっくりと。
「ドッペルゲンガー、この現象には沢山の解釈があることは覚えているね? 忘れていたら思い出すんだよ。このドッペルゲンガーの代表的なオカルト的考え、見たら死期が近い・・・・・・というより正確には3日以内に死ぬはずだ。このことからオカルト的なドッペルゲンガーの線は消える。蜘戒さんがドッペルゲンガーを見たという時から3日以上経過しているからね」
確かに言われてみればそうだな。
だから蜻蛉さんは、あれから2日後の今日に指定したのか。
3日と言わず数日間経った、今日。
これで蜘戒さんがこの場にいるということは、オカルト的な考えは消える。
「次に、医学的な考えだね。脳腫瘍が原因で見える自己幻影視。これについても考えればすぐに自己幻影視という線が消える。何故だから分かるかい? 朧木くん」
「・・・・・・脳腫瘍だよね?」
「そう、正確。脳腫瘍が原因で見える自己幻影視は重度の脳腫瘍患者のみだ。重度の脳腫瘍患者がこうして普通にいられる訳がない。まず入院しているはずさ。ということは、最後に残されたのはなんだい?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・?
他になんかあったっけ?
オカルト的な考え、民間伝承、医学的な解釈……これで全部じゃないのか?
何か重大で、重要視してないものがあるのか?
曖昧すぎて気にもとめない何かが。
作品名:朧木君の非日常生活(8) 作家名:たし