朧木君の非日常生活(8)
ほらね。
「それとその離魂した魂はいずれ戻ってくるよ。そう伝えられている。だって、自分の魂なんだから」
「・・・・・・はい」
「あっ、それと今度また来るようだったら嘘はついちゃダメだよ。真実よりも嘘ほど分かりやすいものはないんだから」
「・・・・・・・・・はい」
「それじゃ行くよ、朧木くん、鬼火ちゃん」
蜻蛉さんは、そう言い来た道を戻り始めた。
俺も慌てて蜻蛉さんを追った。
鬼火ちゃんは凄く寂しそうだけど。
だから伝えてあげよう。
「大丈夫だよ、鬼火ちゃん。寂しくなんかないよ」
「何で?」
「だってほら・・・・・・」
蜻蛉さんは『また今度』って言ってたじゃないか。
狡猾だよ、蜻蛉さん。
作品名:朧木君の非日常生活(8) 作家名:たし