妄想
Scene5
「ねえ、まだ起きてる?」
隣の布団から声がする。
聞こえてはいるけれど、どうにも眠くて目も開けられず、声も出せない。
おやすみ。私はもう寝るよ。
今日はきっといい夢が見られる。
だって寝る間際まで、あなたの顔を見ていられたから。
「ねえ、……ったの?」
眠りの底で何か聞こえたような気がした。
その後、頬に触れる滑らかな感触。
一瞬の困惑の後、その心地よさにされるがままでいる。
そして、私は夢の中に深く深く引きずり込まれていく。
ああ、やっぱりいい夢が見られた。
その夢の中で私は彼女に口付けをされた。