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ひまつ部①

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「ロリはまだ小さいがあと10年もすればボンッ キュッ ボン! のエロエロなおねーさんになるのだ! そして世の男どもをたぶらかすのじゃ! うはははははははっ」
「わ、私はこれくらいでちょうどいいんだ… 大きすぎても動きにくいからな」
ロリの痛々しい発言は右から左へ聞きながし、茄奈もそうは言うものの自分の胸に手を当てている。
なんか妙な雰囲気になってきた。
そして俺はティアへ視線を戻した。いや別に意味はなかったのだが全員を一通り眺めた後、問題を起こした張本人へ視線が戻ったというだけのことなのだが…

「な、なによ! ア、アタシだってこれからなのよ! つーか、そんなエロい目で見んな!」
急に視界が狭まる。ティアの傍にあったティッシュ箱が俺の顔面をきっちりと捕える。いや、飛んできたのか…

「っー… 何すんだよ! 別にそんな目で見てねぇし! 言いだしたのお前だろうに」
とはいえ、年齢からして1,2番にあるべきティアの胸はスラリとまっすぐなボディラインだった。

翌日のひまつ部。
放課後の掃除に手間取ってしまい、部室へ行くのが遅くなってしまった。

「わりぃ、掃除に手間どっ――」
部室に入った瞬間に襲ってくる強烈な違和感。その答えはすぐに理解できたのだが、触れていい部分なのか非常に困る。
思いっきり突っ込みたいところではあるが、彼女達の行動を考えると少なからずともコンプレックスは抱いているのかもしれない。
そんな部分に異性の俺がつっこむのは問題ある、と判断した俺は必至に平常を装った。
その強烈な違和感の正体とは、見事に皆の胸が異常に膨らんでいるのだ。
何だ、何を詰めた。野球のソフトボールか? ハンドボールか? 風船か?
マジマジ見るのも失礼だと思い窓際へ座り空を眺める。

「蒼空! もっとアタシたちを見なさい! 何かあるでしょう!」
そんな俺の小さな思いやりは恒例行事と言わんばかりにぶち破られた。
例のごとくティアによって。見るなと言ったり見ろと言ったりどっちなんだよ。

「なぁ、虚しくないのか?」
俺は言葉を選んだ挙句、率直にかつ廻りくどくなくストレートに気持ちをぶつけた。
若干の嫌味成分も含めて、だが。

「うっさい、バカァ!!!!」
見事なティアのステップキックが俺の後頭部を捉える。
やっぱ人って飛べるよな。今年で2回目だ。
空を飛べたことの優越感に浸る暇もなく強烈な痛みが後頭部から伝えられる。
そして迫り来る物理的な痛みに耐え忍ぶ覚悟を決める。

「っつー… 感想を求めてきたのはお前だろうが。なんで蹴られにゃならんのだ!」
「乙女の純情を踏みにじるからよ! シルエットだけでもどうなるかなーとか思うでしょ!」
つまりは大きくなったらどんな感じになるのか見てみたかったというわけか。
もう俺のいないところでやれよ…

「お・に・い・ちゃ・んっ♪」
上目使いで俺を覗き込んでくる陽向。
こいつも例外ではなく胸元が大きく膨らんでいる。
俺はこの溢れだしそうなやりきれない気持ちを抑えることで精一杯だった。

「やはりこの問題は切実ね。みんな! 今日の活動内容を発表するわ!」
今まで発表なんてあったか、というツッコミも間に合わずティアは言葉を続ける。

「本日の活動は、巨乳を探す! さぁ、行くわよー!」
卑猥なその発言だったはずが、ティア、ロリ、陽向、春樹はノリノリである。
こういう日に限って茄奈がいないことに大きな寂しさを感じた。
そういや、ななたもいない。俺も帰っていいかな…
なんだかんだいいつつ、ティアの暇つぶしという名目の活動に付き合わざる得ないのがこのひまつ部であった。

俺達は、その… なんだ。巨乳を探すべく学校の敷地内をウロウロしている。
しかしこの集団、傍から見ると物凄く怪しい。見かける女子生徒の胸ばかりを凝視し、オッケーだのアウトだの言いながら歩き回っているのだから。あぁ、確実に変な噂が立つぞこれ。絶対、間違いない。
それだけならまだしも、目にとまった女子を見つけたら俺が声をかけるという事態に。
なぜ、わざわざややこしい方向にもっていくのか。

「…はい、何でしょうか…?」
明らかに不審な眼差しを向ける豊かな胸の女子。
まさかあなたの胸に惚れて勧誘してます、なんて言えるわけもなく。
言葉を濁すものの妥当な言葉が見つからず返って不審者扱いに拍車をかけるという悪循環。

「あの、私これから部活がありますので失礼します」
そう言って胸の豊かな女子は小走りに去って行った。
なんだよこれ… 俺の平穏な学園生活が懐かしい。

「ちょっと! アンタもっと真面目にやんなさいよ! 部活やる気あんの!」
「蒼空… もう少しデキる男だと思っていたのは過大評価だったようじゃな」
容赦ないティアとロリの言葉。まさか俺、部活で苛められてるんじゃないか。

「ティアさん、さすがにこれをお兄ちゃんにさせるのは逆効果だよ。いきなり男子が女子に胸の話してきたら普通変な目でみるでしょ?」
陽向! お前は本当にいい子だな! 心の優しい子に育ってくれて俺は本当にうれしいぞ!

「確かに陽向の言う通りだね。さすがにこの役に蒼空を使うのはちょっと問題がある。まぁ、その問題をも超えると思ってはいたのだが、その程度の期待すら超えられない蒼空なんだ。仕方ないんじゃないかな」
春樹さん、なんでしょうかその助けるような言葉かと思えば実はトドメを刺すように突き刺さる言葉。
言葉の暴力です! この人たち言葉の暴力を振るってきます!

「ん… まぁ、そうね。確かに男子がいきなりキミのおっぱいに惚れたよ、なんて言ってきたら間違いなくぶっ飛ばしてるわ。悪かったわね蒼空。変なことやらせて」
ティアが素直に誹を認めた…? まさかそんなことが起きようとは!
俺は感無量のあまり涙がこぼれそうになったのもほんの一瞬。

「やはり、ゲームと現実は違うものじゃな、ティア」
「そうね。ゲームだと結構いい感じにできたのにね」
ロリとのやり取りに答えるティア。
最初からこうなることは予想済みだったのか! 何か俺に恨みでもあるのかよ!
がっくりとうな垂れる俺ににっこりとほほ笑みかける陽向。

「わたしなら全然おっけーだよっ☆」
俺は陽向の言っている意味がわからなかった。
いや、わかりたくも無かった、そんなつらい一日だ。

結局何の収穫も無いまま、部活は終わりを告げるのであった。

作品名:ひまつ部① 作家名:天宮環