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交差する橙

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 ―瞳が世界の色を認識した。そして、それは電気信号となり脳に届いた。それにより、僕は今まで見ていたものが夢であったということに気づいた。僕はいつもの通り、教室の窓側にある自分の座席に座り、校庭の風景を見ながら、いつの間にかうとうとしてしまっていたようだ。

 教室は女子のたわいもない話し声が溢れている。僕は正面の黒板の横に掛かっている時計を見た。13時5分。20分ぐらい寝てしまったようだ。普段であれば昼休みでも寝てしまうということもないのに。きっとこの暖かさも理由の一つに挙げられるだろう。5月。朝のニュースでは今日は20度を超えると言っていた。暑すぎず、窓を開けていると心地よい風がカーテンを揺らす。空腹が満たされた僕には最高の睡眠導入剤だったんだろう。でも、心当たりはそれだけではない。昨日のアレだろう。まさか、こんなにも影響をもたらすなんて思ってもみなかった。これは後でどうにかしないといけないな…。僕はそう放課後の予定を決め、机の右側に掛かっていた、カバンからペットボトルを取り出し、おもむろにお茶で喉を潤し、目を覚まして午後の授業の支度を始めた。

作品名:交差する橙 作家名:こめっち