交差する橙
太陽はとうに南中をし、地平線に沈むべく高度を下げていた。教室にはまだ明るい日差しが届いているが、次第にオレンジ色に染まり、机や椅子、そして僕達の影は伸びて、夕闇の訪れを告げるのだろう。
「笑わないでくださいよ!これ、先輩のせいですよ!」
僕は夕方部の部室にいた。といっても、非公認の部活だから、使われていない教室を勝手に使っているだけ。コの字型をした教室の西側の教室棟は空き教室が多くてひっそりとしている。そんな中で、僕の声が校舎に響いた。
僕がなぜこんなに怒っているのか。その原因は、あの頃に遡る。―初めて歩道橋から一番星を見たとき、そして、彼女の表情を見てしまった、その時だ。