ブラックジャックの消息
顔を恵の耳元に寄せ囁く。
達也の息が肌に触れて恵の胸がドキンと鳴った。
「今までの宿題のツケ、払ってもらっていい?」
恵が涙に濡れた顔を上げると、至近距離に達也の笑った顔があった。
「・・・ツケ?」
「そう、今まで宿題手伝ってやったでしょ。そのお返しを要求する。」
いたずらっぽく達也は恵を睨む。
恵は不信感も顕わに眉間に皺を寄せた。
「なによう。この期に及んでそんなもん請求する気?」
「いいじゃん。これがホントの冥途の土産だ。」
笑える話ではないのに、達也は笑いながら言った。
「1回だけ、オレとデートしてよ。」
作品名:ブラックジャックの消息 作家名:雪猫