桜ト智香物語
「あっちゃぁ…やっちまった!!」
乱暴にクローゼットから服を取り出し、寝癖全開の頭で鏡の前に立ちながら苦い顔をしている自分を見ると情けなくなってくる。そんな頭を思いっきりくしゃくしゃする。
「少しだけのつもりが…あぁ…もうっ!!」
起きたら午後1時。
寝ぼけた頭をフル回転。
間に合うことだけを考えろ…ばかやろう…!!
「とりあえず飯はいいわ…けど、さすがにシャワーあびねぇとな…」
部屋着の襟を掴んで匂いを嗅ぐが…ひどい。
そういえば、昨日(厳密に言えば今日だが…)片付けていた途中に居眠りこいて、思い出せば入浴などしていない事実にぶち当たる…。
忌々しい過去の自分に舌打ちしながら、さっき取った服をベットに投げる。
汗が染み付きすぎた衣服を脱ぎ捨て、バスルームへ前進。
途中で携帯が鳴り響いたが、下唇をかみしめて懺悔しよう、
「すまん、桜。あたしだって一応女なんだ…」
心のそこから謝罪し、
変に温い下着を放り投げた。
今日は夏休み2日目、ある女の子とのデートの日である。