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朧木君の非日常生活(6)

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「あっ、そういえば朧木くん」
なんだよ、蜻蛉さん。邪魔すんなよ。
「BLをなめちゃいけないよ」
「話を戻すな!!」
それになめちゃいない。BLをバカにしたら腐女子にやられるよ?
「ここからが本題さ」
「蜻蛉さんって本題しかないんじゃないの?」
「ははは、うまいこと言うね。一本取られたよ」
大したこと言ってないのに一本取ってしまった。
「朧木くん、自己幻影視または二重の歩く者って知ってるかい?」
・・・・・・自己幻影視?
なんだろう、聞いたこともない。
俺は無論言葉に詰まった。もちろん、鬼火ちゃんに至っては「?」という表情を包み隠さず出している。
「その顔だと分からないようだね。意地悪過ぎたかな? 要するにドッペルゲンガーだよ」
・・・・・・ドッペルゲンガー?
俺はその言葉を何度も頭の中で反芻した。
「朧木くんが今、頭の中で描いているドッペルゲンガーで正解だよ。鬼火ちゃんは分からないようだけどね」
「んじゃ、あれだよな。自分と瓜二つの顔をしていて、見ちゃうと何日か以内で死ぬとかいうやつ」
多分、これで間違ってないだろう。
俺が、ドッペルゲンガーで知っている知識なんて一般的なレベルなんだから。
「よく知っているじゃないか、朧木くん。実に曖昧だけどね」
曖昧か知ってるかはっきりしろ。
蜻蛉さんが曖昧じゃないか。
「んで、そのドッペルゲンガーが何したんだよ。まさかドッペルゲンガーを見たとか言うの?」
鬼火ちゃんと遊んでいたの邪魔したんだから、大した内容じゃなかったら怒るよ?
「そのまさかさ。実に興味深い話だろ? もっともドッペルゲンガーを見たのは僕ではないけどね」
「また掲示板でも見たの?」
「何を言ってるんだい、朧木くん。ここは都市伝説解決事務所だよ」
蜻蛉さんが、わざとらしく驚いてみせてから言った。
作品名:朧木君の非日常生活(6) 作家名:たし