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遼州戦記 保安隊日乗 6

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 密かにランの萌えるポーズを写真に撮ろうとした菰田の隣の技術下士官に鋭い目つきを送るラン。
「すいません!すぐ消します!」 
「消すくらいなら最初から撮るんじゃねーよ」 
 苦笑いを浮かべながらそう言うと再びランは静かに食事を再開した。その様子をただ待たされ続けると言うように経ったままランを見下ろしていた。
「一番必要な場所に一番適した人物を配置する。アタシは隊長からその権限を委託されて副隊長をやってるんだ。テメーの力が必要なら死にそうな状態でも引っ張り出すからな」 
「まあ島田は死なないけどな」 
 ランの言葉に茶々を入れた要をランは殺気がこもっているかのような視線でにらみつけた。
「ともかく島田。オメーは明華にもらった仕事をちゃんとしろ。終わったらアタシが明華に話をつけてやる。それでいーか?」 
 ランに見上げられれば島田も断れなかった。ただ力なく頷く島田を見て満足げにランはさじを進めた。
「しかし……次の事件はこっちで起こるんですかね?たまたま気まぐれでこっちで事件を起こしてまた都内に帰っちゃったとか……」 
「心配性だなアイシャ。それならそれでいーんだよ。アタシ等の管轄の外の事件と言うことになる。茜の嬢ちゃんがこれまで作った隊長のコネを使って捜査一課だろうが警備部法術機動隊だろうが犯人を挙げてくれれば儲けものだな」 
 淡々とランがつぶやく。そしてその言葉が響くたびに菰田達のボルテージが上がるのが嫌でも見える。ささやき、つぶやき。その中に『幼女』と言う言葉が混じっているのでいつ爆発するかと誠は気をもんでいた。
「ああ、それと菰田!」 
「はい!」 
 ランに呼びつけられてシンパに守られながら立ち上がる菰田。だがその回りの連中は明らかにそんな命令口調のランの態度に萌えていた。
「飯食ったら出勤だろ?無駄話してるんじゃねーよ!」 
「了解しました!菰田曹長、これより駐屯所へ向かいます!」 
 さすがにランの怒りが爆発するまでに去ろうとするが、Mっ気のある隊員が残ろうとするのを何とかなだめすかして食堂を出て行く。
「アイツ等何しにここに配属になったのかわかってんのかねー」 
 そう言うと最後の一口を口に運ぶラン。さすがの誠もその姿には萌えを感じざるを得なかった。
「誠ちゃん。私達のフィギュアよりもランちゃんの方が売れそうよね」 
「クラウゼ。つまらねーこと言ってるとはたくぞ」 
 そう言いながらランはテーブルの上の粥のどんぶりを持って立ち上がった。
「期待してるからな」 
 そう言って振り向いたランの笑顔はいつもの鬼の副長ではなく無垢な少女の笑顔に見えてつい誠は自分の心がときめくのを感じていた。
「ロリコンが……」 
 カウラはそれを見て大きなため息をつくのだった。


 低殺傷火器(ローリーサルウェポン)15


「ったくなんであの餓鬼だけ寮に住み着いてるんだ?」 
 寮を出たときから要の機嫌はあまりよくなかった。そしてこうしてつい三日ほど前までは倉庫だっただろう豊川警察署の北側の狭い与えられた部屋を見回すと余計今朝のランの言葉が気になるようで伸びをしながらそう要がつぶやいていた。
「それを言うなら私達もじゃないの。あそこは一応男子下士官寮なんだから。私もカウラちゃんも要ちゃんも『男子』でも『下士官』でもないんだから……」 
「それなら私達には神前の護衛と言う任務があるんだ。例外として認められるだけの理由がある」 
 口を挟んだカウラをにやけたたれ目で見つめる要。
「おい、珍しいなあアタシと同意見とは。あれか?それは建前でなにかすごい深い理由が別にあるのか?」
「深い理由?」
 しばらく無表情で黙っていたカウラが急に頬を染めて目をそらすと自分の端末を起動した。
「やっぱり下心か……むっつりスケベは手に負えないねえ」
「どっちもどっちじゃないの」 
「なんだ?アイシャ!言いたいことがあるならはっきり言えよ!」
 要の声が急に怒声に変わる。それを見てカウラはなぜかホッとしたように吐息を漏らすと起動した端末に目を向けてキーボードをたたき始める。
 誠はこれ以上の騒ぎはたくさんだと先ほどのランの話題に話を持っていこうと口を開いた。
「クバルカ中佐はあの格好だとどうしても部屋とか借りるのが大変だとか言ってましたよ。小学生低学年の一人暮らしなんて誰も部屋を貸してくれませんから」 
 要は怒るのも馬鹿馬鹿しいとそのまま椅子に腰を下ろす。それを見ながら自分の机に腰掛けたままのアイシャが指を頬に当てて少し考えていた。
「そらそうよね。あんな小さくてキュートな女の子を見つけたら私だって付いて行っちゃうもの」 
「恥ずかしげもなく言うな」 
 アイシャの言葉に一言突っ込むと再び画面に向かうカウラ。しばらくカウラのキーボードを叩く音ばかりであたりを沈黙が支配した。
 突然要が手を叩く。全員の視線が何事かと彼女に向かった。
「おい、神前。もう一回言ってみろ!」 
「驚かせないでくださいよ!何をですか!」 
 要の大声に誠は椅子からずり落ちそうになった。なんとか耐えながら要を見る。その表情は歓喜の色を湛えている。
「だからだ!もう一回!」
 そのまま要は今度は立ち上がって襟首をつかんで引っ張りあげる。驚いたアイシャが要の手にすがりつくが誠はとりあえず要が怒ってはいないらしいと言うことで安心しながらもその強力なサイボーグの怪力におどおどしながら何を言えばいいのか迷いながら彼女のタレ目を見つめていた。
「なによ、要ちゃん。ランちゃんが部屋を借りられないのがどうしたのよ」 
 アイシャの言葉を聞いた要は誠の襟首から手を放した。そのままどすんと自分の椅子に落っこちる誠。そんな彼の目にはまるで子供が宝物にでも出会ったように満面の笑みを浮かべる要が映っていた。
「そうだよ!馬鹿だなあ。アタシ等がこのちんけな部屋から出るにはそこからはじめなきゃならなかったんだ!」 
「うるさいぞ、西園寺。そんな何かつかめる糸口でもあれば苦労しないと思わないのか?」 
 カウラにまで言われると憤慨したように要はカウラの脇にずかずか進んでいく。
「何をする!」 
 カウラの声もむなしく要は彼女のを占領した。そして取り付かれたように凄まじい速度でキーボードを叩いてデータを入力し始めた。
「気が付かなかった……馬鹿だった……」 
「要ちゃんが馬鹿なのは昔から知ってるけど」 
 そんなアイシャの一言にチョップを入れると要は画像を表示させた。
「不動産情報?賃貸物件の契約状況……?」 
 誠は不思議そうにどうだと言わんばかりの要の表情を見ながらつぶやいた。
 得意げな要。それとは対照的に誠もカウラ、そしてアイシャもぽかんと彼女の笑顔を見つめた。
「要ちゃん……出て行くのね……。うるうる」
 アイシャのわざとらしい演技にため息をついた後要はさっと端末の画面を指差した。 
「勘違いするんじゃねえ!賃貸契約の全容を把握するんだよ!もし今回の星がこちらに拠点を移したとなれば部屋でも借りると考えるのが自然だろ?今のご時世法術師の入居はいろいろ面倒が付きまとうはずだ」