続々・三匹が行く
テンプルナイツたちだけではなくちょうどその時階下に下りてきたセンリも動きが止まる。
「げ、ユキ……」
センリの姿を見て、ユキはにっこりと笑いながら先ほどのテンプルナイツ達が発した問いに答えた。
「ライウ隊長に命じられて王子のお迎えに上がりました。逃がさないように何が何でも今日中に連れて帰ってこいと言われましたので」
「逃がさないように、って……」
驚いた様子で言ったテンプルナイツの一人に対して、ユキは彼にではなくセンリの方に問い掛けた。
「隙あらば逃げるつもりでいませんでしたか、センリ王子?」
「…………ちっ」
その舌打ちが全てを物語っていた。
「……さすがライウ隊長。良く分かってるな」
「シノノメ様の助言もあったんじゃないのか?」
「ああ、それは一理あるかもな」
ぼそぼそと話し合うテンプルナイツ達。そんな中にひときわ大きな声が上がった。
「ユキって……あのテンプルナイツ副隊長の!?」
声の主はチヒロだった。どうやら先ほどまで呆然としていて事態について来れなかったらしい。
「はい」
静かに頷いたユキに対してしばし呆然とした後、チヒロは目を輝かせて彼の元に歩み寄った。
「俺、あなたの大ファンなんです! サ、サイン……もらえませんか?」
困ったように笑いながらも頷いたユキに、チヒロは満面の笑顔で喜んで、宿の人にペンを借りに走った。
「……なあ、イジューイン」
そんなチヒロを見ていたセンリが、後ろに立つイジューインに問い掛けた。
「チヒロって、ひょっとしてすっげーミーハー?」
「……僕も今まで知らなかったよ……」
(To be continued そして…)