蚊帳の外で籠の中。
●アウトサイド・(ルッキン)フォー・インサイド
アウトオブサイト、アウトオブワールド。これって真理だ。目に入らないものはどうしたって意識の外に出る。俺にとっての保健室というのは正にそういう場所であった。俺ってば病気とは無縁の健康優良児だったから。
だがしかし、三週間前、俺は自動車との接触事故で右手を負傷した。大したことはなかったが、体育の授業には参加できなくなった。だから保健室に足を踏み入れた。そしてお嬢に出会った。そうそう、あの日もあいつは絵を描いていた。
「あんた誰」
「二年B組さかむらりょーたと申します」
「ふうん」
「そういうキミはここでなにしてんの」
「引きこもってる」
「なんで?」
「面倒だから」
「なにが?」
少し間を置いて、ここで初めてお嬢は振り向いて俺を見た。
「生きるのが?」
いや、聞き返されても。